光と影 act.5-1
ザーッ………夕方になり、すごい雨が降ってきた。予報は晴れだったのに。
「ったく!なんでなんだよ!」
―ごめんなさいねぇ。 寒冷前線は気まぐれなの♪
「誰だよ」
―あたしはぁ、雨の精霊、レイよぉ♪
―雷のサンだ!
「なんだてめぇ……自分のこと"精霊"って言う奴始めて見たよ」
―いいじゃなぁい♪ ホントのことなんだからっ♪
「尻軽女め」
―…オレっちのこと忘れてますよー?
なんだこいつ…こんなのが精霊? 有り得ない! おしとやかじゃねぇし、口調も軽い。
―あんた失礼ねぇ! 喋り方だけの問題でしょう!
「僕にとっては重要だ」
昔を思い出す……バイクを乗り回し意味もなく物を破壊し騒いでたあの頃を。
楽しかったあの頃がない今では辛いだけの思い出だ。苦しくなるだけだ。
―生意気なガキねぇ…ルナから聞いた話と違うじゃない!
―…ちょっと聞いてるー?
「てめぇがその名前出すんじゃねぇよ!汚れんだろ」
本当はドキドキした。どうしてもルナの名前がいつも頭に絡み付く。
"ルナが好き"という真実を認めざるを得なくなっている。でも……認めれないんだ!
人間じゃない。どうしてこんなにも大きく僕の前に立ちはだかるんだ。どいてくれよ…
そんなことばかりを考えている気がするな……