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密心
【ファンタジー 官能小説】

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密心〜みそかごころ〜-5

「みそか!みそか!よくやったねぇ…よかったねぇ」

微睡む意識の先で初めにみつけたのは牡丹姐さんだった

「牡丹姐さん…?」

「いい旦那でありんせんか……起こさぬともよいから休ませてやれと…ホンによかったねぇ、みそか」

心底安心したような牡丹姐さんに私までホッとした

――私も、初めてが蔵ノ介さまでよかったです

そう思えば、思わず笑うと牡丹姐さんはぎゅうぎゅうと抱き締めてきた

「ぬしが笑ってくれてよかった………ほんによかった。ぬしのその顔…ほんに久しいのぉ」

「……牡丹姐さん、」

泣き出しそうに笑う牡丹姐さんに今まで私はどれだけ心配をかけてきたのだろう

手を握りこまれ何かを掴まされた

「甘納豆、珍しぃ菓子よ。旦那がみそかにと。よぅ味わいんさい……また来てくださるから」


弾かれたように牡丹姐さんをみれば、まるで自分のことのように喜んでくださっている

二人で食べた甘納豆とやらは……贅沢な、味がした



甘納豆の数をひとつひとつ数えながら、蔵ノ介さまはまたいつ来てくださるだろうと思うと胸が音をたてたみたいに響いて……驚いた

こんな心地は初めてだ


口に含んだ甘納豆とやらがほろりと口の中で蕩けた

(みそか)

思い出してしまった最中の蔵ノ介さまの声のように――


それは熱を孕み胸にとごった


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