密心〜みそかごころ〜-4
「あぁ、だめ、だめ」
何が悪いのかもわからずだめだめと至らない返事しか返せない私の頭を撫でながら、相も変わらず蔵ノ介さまは私の花芯を吸い尽くす
流れ出る熱いもの全て飲み込んでしまうのじゃないかと思うほど
「みそか…すまぬ、痛い思いをさせようが」
「かま、いん…せぬ」
それだけであのときなのだと感じた
「あぁ、あ!ぁああ!!」
花芯が裂けるかと思った
じんじんと熱を持ち熱く苦しく痛かった
なんてことがあるのだろう
この世にこれほどの痛みがあるのだろうか
あまりの痛みに泣いた
「ぅあ、ぃた、あぁ…!」
けれど、…いやだとは言わなかった
姐さんに教えられていたからではない
私が蔵ノ介さまを受け入れたかったからだ
初めての方
気まぐれでお相手に選ばれたのかもわからぬのにまた選ばれる自信などない
初めての方
そしてこれで最後になる方かもしれぬ方
花芯の上にある秘芽を押し潰すように摘み取るように刺激され、喘げば花芯が蕩けてゆく
「ふぁ!ぁ、は…ぁあ、ん…やぁ!んん…」
あんなに裂け千切れるかと思った痛みは今は鈍く綻んだ花芯からはぬるい水が溢れてやまないように、音をたてていた
「蔵、ノ介…さま」
「みそか…」
霞ゆく意識の中で背をきゅうと掻き抱くと、きつく抱き締め返された
契ったのだ
蔵ノ介さまと
蔵ノ介さまが私の初めてをちぎられたのだ
味わうことないだろうと思い込んでいたこの世の蜜を味わいながら、ゆるゆると蕩ける意識の奥でみそかと呼ばれる名は、そういえば牡丹姐さん以外では初めて呼ばれたのを今更ながらに思い出していた