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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 1-1

「おっはよう!」
「……おはよう」

あたしと彼の朝はいつもこうだ。
あたしがビシッと元気よく挨拶すると、朝が弱い彼は鬱陶しそうに溜め息を吐き、小さな声で返事する。

「今日から三年だね!今年も同じクラスだといいけど」
「……そうだな」
彼は眠そうにしたまま先に歩き出す。
あたしは彼の背中を急いで追いかけながら、いつも会話を絶やさないようにいろいろなことを話すのだ。

あたし、柊憂(ひいらぎゆう)と彼、篠原聖(しのづかひじり)は所謂、幼なじみ。
同じマンションに住んでいて、幼稚園からの付き合い。
互いの両親も仲が良くて、小さい頃から毎日遊んでいた。
小学校、中学校も共に過ごし、高校も自然と同じ学校に進学した。

恋人同士という関係ではないけど、あたしと聖はお互いのことを知りすぎているから、そういった関係に進展しないのかもしれない。

だから聖が朝に弱いことは勿論承知の上だし、こうやってあたしが朝から騒いでも聖は怒らない。聖もあたしがこんな性格だって知っているから。

すでにあたし自身、聖とは恋人以上の絆があると勝手に思い込んでいるくらいだ。

いや、よく考えると互いに臆病で告白ができないからかもしれない。

周りからは既に公認カップルだと思われていることもあってか、どちらかがそんなことを言い出すこともなかったし。

でもそんな関係も嫌いじゃないし、聖も何も言わないからそれでいいんだと思う。

聖との生活が、毎日の生活が楽しければ今はいい。

あたしはそんなことを考えていた。


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