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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 prologue-3

***

一緒に回る、といっても、何かをするわけでも会話を交わすというわけでもない。
ただ無言で歩き回っているだけだ。

言わなくてはいけない。
あのときのことを。
謝らなきゃいけない。
あのときのことを。

あたしの頭の中ではそればかりがぐるぐると廻っていた。

ちらりと彼の横顔を覗き込む。
そこでふと思う。
彼はあの事件が起こる前のように、無愛想だけど柔らかな顔をしていた。

あの事件を終えて退院してきた彼は、本当に目つきも鋭く、他を寄せ付けない威圧感があった。

彼は、過去を清算できたのだろうか。

「……憂?」
彼があたしの名を呼んだ。
そして気付く。
あたしが彼の横顔をずっと見つめていたことを。
「あ、ごめん」
「……憂」
「なに?」
「お前は…あのときのこと」

彼がそう言った瞬間、胸がずきりと痛んだ。
あのときの記憶がどっと頭の中に流れ込んでくる。

「ごめん…聖」
あたしはそれだけ言って、人混みの中へと駆け込んだ。


振り返ることはできなかった。


彼は追ってきているだろうか。

せっかく彼がくれたチャンス。
その先には、昔のような楽しい日々が待っていたのかもしれない。

自意識過剰だとわかっている。
傷ついたのは彼なのに。傷を負わせたのはあたしなのに。

でもあたしは、自分自信の自責の苦しみから抜け出せなかった。
いや、抜け出してはいけないのだ。

例え彼が許してくれても。
呪縛が解き放たれることはない。



すべては二年前、高校三年の春に遡る。


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