『久遠の絆~現代〜平安編~』-7
〜罪と罰〜
十日後。
一時、静かな夜が訪れている。
あの日、俺と螢は屋敷に戻ると、保憲様と兄上の前で、二人のことを全て話した。
そして彼女は自分の犯した禁忌は許されがたいもので、罪を償う為に次の満月までしかこの世にとどまれないことを告げた…。
迎えた刻限の日。
俺は道綱、道満の襲撃で炎に包まれた螢の屋敷にいた。
俺は神剣を手に道満を一蹴するが、怒りの感情に支配され『まつろわぬ神々』の血に目覚めてしまったため、天叢雲に拒まれてしまう。
我を失う俺に突然、螢が飛び込んでくる。
俺は咄嗟に印を結ぼうとするが、螢は切なくも嬉しそうな顔を浮かべ、崩れ落ちた。
彼女は道綱の攻撃から俺を庇い、そして、命を散らそうとしていた……。
『螢っ!!』
『わた……し…を……さがして、たかひさ。なんども…なんども……繰り返し……繰り返し……罪の許されるその日まで……』
眉間と、涙が熱かった。例え星の並びが変わるほど時を隔てても、必ず君に逢いに行く。
そしてその時こそ、君を必ず守ってみせる。
俺の中で目覚めた暗黒の大蛇が道綱と道満を葬った後、火の粉が舞う漆黒の空を見上げ、泣いた。
いつまでも、いつまでも果てることなく涙が零れる……。
〜万葉との再会〜
両目から涙が溢れ、机を濡らす。
気付けばそこは部室。
俺が見た哀しい話は俺自身の前世で、しかもまだ一部に過ぎないと天野先輩は言う。
そして、さらなる前世への旅をすることになるとも。
天野先輩と別れた帰り際、校門では妖魔と戦う万葉が俺を待っていた。
妖魔を遠巻きに二人の視線が結ばれ、絡み合う。
『武……思い出したのね』
万葉の言葉に困惑する。しかし、彼女が俺にとって大切な人の生まれ変わりだということだけは、魂が感じていた……。
〜完〜