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『久遠の絆~現代〜平安編~』
【二次創作 恋愛小説】

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『久遠の絆~現代〜平安編~』-6

〜主上の行幸と禁忌の愛〜

……後日。
あの後、どうやらヌエは逃走し、俺と螢は屋敷の家人に助けられたらしい。

俺は事の経緯を兄上に話し、助力を求めた。
賀茂家へ戻ると、保憲(やすのり)様から皆に集合がかけられた。

習坊に、螢の屋敷を警護している兄上以外の陰陽師、および見習いまでもが一堂に会す中、主上が上高野に行幸する旨が伝えられた。

そして昨日、その上高野にヌエが出没したことも……。

保憲様は全員に主上の安全を守るように心して構えよと言い残し、習坊を後にした。


その十数日後、世間は主上が行幸先で運命的な出会いをした美しい姫を更衣として入内させるという話題で賑わっていた。
その噂の姫とは…螢だった。

荒れる俺は、賀茂家を飛び出し森で太刀を振る。そんなことで俺の気が晴れる訳もなく、ただ疲れた果てた俺は草地にひっくり返った。

雌鹿と小鹿が俺を慰めるように現れる。
そして、警護の目を盗んで抜け出してきた螢も……。


『俺はお前の「運命の男」じゃなかったのかよ!』

俺は彼女を責めた。
螢はそんな俺に『まつろわぬ神々』と神剣の伝説を語り、自分は国を救う地上の神たる者に神剣を手渡すため、天から使わされたのだと話す。

…勘違いをしていたのだ。


螢の『運命の男』は最初から俺ではなかった。
俺達の愛は、神にも見放された禁忌の愛。
彼女が俺を選ぶことは、国の滅亡を意味する。


間の悪いことに、そこに螢を狙う道綱(みちつな)と名乗る男と、ヌエの道満(どうまん)が現れた。

俺は道満の召喚した犬神に張り付けにされ、道綱は俺の命と引き換えに、螢から神剣・天叢雲(あまのむらくも)を奪おうとする。
螢は十二単を開け、十字に裂いた胸元から、神剣・天叢雲を取り出した。

『ほ、螢っ!やめろぉっ!』

『鷹久……私は世界よりも……あなたが欲しい…』

微笑みと涙を浮かべ、螢は偽りのない真の想いを吐く。


『うおおおぉぉっ!!』俺は手足に喰らい付いた犬神の牙を引き剥がすと、螢の神剣を手にし、道満を斬りあげた。
紅い血飛沫が舞い、道満はのたうちまわる。

『おのれぇ鷹久!神剣は必ず頂く!』
そう言うと道綱と道満はその場から退散した。
何とか…追い払うことは出来た。

『鷹久っ!』
駆け寄る彼女を抱きしめ唇をふさぐと、失われていた幼い頃の出会いが蘇る……。
俺は遠い昔に、螢と出会っていたのだ…。



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