夢心地-1
前編
私は、30を過ぎてから親元を出て一人暮らしを始めた派遣社員です。
名前は、中井 優。
世の中不景気とはいえ毎日工場とアパートの往復だけの生活をしている。
コレと言った趣味も無いし友人も居ない。
自分が何をしたくてこうなったのか判らない。
寂しさに心を紛らわせる為、会社の同僚から出会い系サイトを教わり会えない相手にメールを送る毎日…。
自分でも虚しさで半ば鬱になりかけていた頃、自分の生活を変える運命のメールがある日訪れた…。
10月〇×日いつもの様に仕事が終わると出会い系サイトのメールの中に、友人のメールが紛れてた。
久しぶりに、急いで読んで見ると内容が「生きてるか?堕ちてるなら電話しろ?」と書いてあった。
彼女は人妻だったが数少ない友人でもあり、私の事を良く知っている人だった。
私は迷わず電話をした。
彼女の名は雅美と言う。
雅美「久しぶりだな?大丈夫か?今回飲み会をやるんだけど遊び来ないか」と誘いの電話だった。
私「今回はパスして良いかな?金無いよ…」
雅美「気にするな、ホームパーティーみたいで各自持ち込みだから気が向いたら来いよ。」と言ってくれた。
私「時間見て行く。宜しく」と言って電話を切った。
週末になり約束の日雅美の家に行くともう始まっていた。
雅美に久しぶりだなと声を掛けて席に座ると雅美が「右から私のパパは知っているよな、次があだ名でガチャ、カラス、賢治、正、学かな。そして、左側が尚子、奈央、理恵だよ。」と言われた。
私を、優さんと話すと向かって左側の女性が「学、ほら昔好きだった人に似てるよね」と二人で話しているのを聞いた。
私は「どうしたの」と尋ねるとー
奈央「昔好きだった人は名前がやっぱりゆうさんなんです。雰囲気も顔も似ていて本人かと思いビックリしました。気を悪くしないで下さい。」と言われる。
別に嫌な気分では無いし、そんな話を聞いたからなのか彼女に興味を持った。
顔馴染みも居て心地良い気分の中、雅美が「優、酒飲んでないよね!奈央買い物が有るらしいから車出して」と言われた。
私「良いよ。奈央ちゃん?行こーか。」奈央「お願いします。」と…駐車場に行った。
私は、興味があった女性だった為色々話を聞いた。
「奈央ちゃんは幾つ?何処の人、独身、彼氏は」私は出会い系の乗りで聞いた。
彼女は余り警戒した様子はなく「27で結婚2年子持ちで住まいは大宮です」と応えてくれた。
私は、え!と答えると彼女は「どうしたんですか」と聞いてきた。
私「そっか…残念だな」と言うと
奈央「何が残念なんですか」
私「人妻じゃなければ付き合いをして欲しかった」
奈央「やっぱりゆうさんもなんですね」
私「え!」
奈央「良く言われるんだけど…人妻は、恋愛対象外とか独身ならとか…友達になりたいだけ何ですけどね」
私「なるほどね(笑)確かに友達になるのは自由だね」
こんなたわいのない会話を楽しみながら友人宅に帰った。
明け方近くになり私は「雅美、帰るね」と玄関先に立つと奈央ちゃんが「帰る前に一度ぎゅうして欲しいですけど…良いですか」と言って来た。
私は少し戸惑い「別に良いよ」と答え軽いハグをした。
そして、「お休み」と別れを告げた。