投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)
【二次創作 恋愛小説】

人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)の最初へ 人を愛するために(DQ[―主×ゼシ) 3 人を愛するために(DQ[―主×ゼシ) 5 人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)の最後へ

人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)-4

ぽむ。
「……?」
ぽむぽむ。
「ク、クール?」
ぽむぽむぽむ。
「俺が悪かった。ついムキになっちまった。」
ククールはしばらく僕の頭を撫でてから、ぽつりぽつりと話し出した。
「エイト。アイツさぁ、馬車の中で何て言ったと思う?」
「え……?」
僕が顔を上げようとしたら、ククールの手に遮られた。仕方なく、下を向いたままに話を聞く。
「エイトが怪我したのは私のせいだって。手当したくて、早く戦闘を終わらせようと思ったら、つい油断してしまった。ごめん、ごめんねって。……ずっと謝ってばかりだったんだぜ?」
頭上の手に力が込められる。
「俺さ、ゼシカの心を守ってやれるのはオマエしかいねーと思う。俺、アイツに無理させちまうからよ。」
「僕だって、ゼシカに無理させてる、よ…。」
今日の戦闘を思い出して、唇をぎゅっと噛み締める。
「もうちょっと自覚しろっての。」
ぐりぐりぐり。
「痛っ!ククールっ。」

「俺様の心の痛みはこんなもんじゃないッ!思い知れ!!」
「いたたたたっ!やめてよーっ!」
ひとしきり二人ではしゃいだ後、急にククールが真顔になって言った。
「オマエに何かあったら、アイツ……もらっちまうからな。」
「そんなこと、させないよ。」
僕はにっこり笑って返事をした。彼は、安心したように微笑む。
「もう行けよ。ゼシカが待ってるぞ。」
「うん。そうする。」
ぱっと立ち上がって、小走りにドアへと向かう。帰り際に、
「ありがとう、ククール。」
と言って、僕は彼の部屋を後にした。

ゼシカの部屋のドアを叩く。返事は無い。そっとドアノブをひねり、様子を窺う。中は真っ暗だった。
「………。」
ドアの隙間から灯りが差し込んで、緋い髪が照らされる。彼女はベッドの傍に座り込んでいた。
「……ゼシカ?今日は、ごめんね。」
音も無くドアが閉まった。いよいよ暗闇になる。一歩一歩、彼女に近づいていく。
「ゼシカ…、どこ?」
両手を前に差し出す。ふっと何かが動く気配がした。次の瞬間、僕の腕の中にゼシカが飛び込んで来た。そのまま、床に二人座り込む。
「エイト……っ。」
ゼシカは涙声だった。また僕は彼女を泣かせてしまったんだ。
「ごめ、っ……んなさい……。」
細い肩がぶるぶる震えている。僕は小さな背中をさすりながら、彼女の頭に顎を載せた。
「ククール、怒ってなかったよ?」
「…違うの。私、エイトが死んじゃうって……思ったら……。」
「大丈夫だよ。」
僕は、幼子をあやすように揺らしながら、彼女の背中を撫でる。
「早く、ぅっ。早く…、エイトの傍に居たく、て…っ。」
「うん。」
顎を離し、両手でゼシカの頬を包み込む。やっと目が馴れてきた。君の顔がよく見えるよ。


人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)の最初へ 人を愛するために(DQ[―主×ゼシ) 3 人を愛するために(DQ[―主×ゼシ) 5 人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前