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人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)
【二次創作 恋愛小説】

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人を愛するために(DQ[―主×ゼシ)-1

ねぇ、ゼシカ。
僕は、ずっとずっと…、君を忘れないでいられるかな。


朝陽が眩しくて目が覚めた。昨夜はあのまま眠ってしまったみたいだ。起きようとして、隣に目をやる。僕の左腕には、すやすやと眠るゼシカがいた。その頬にはまだ涙の跡が残っている。
君が泣くことなんて、なかったのに…。
そっと拭ってやり、緋色の髪に手櫛を入れてから、彼女を起こさないように腕を引き抜いた。
「ん……。」
彼女は少し眉をひそめたが、すぐに規則正しい寝息を立てた。見ていると、つい顔がほころんでしまう。かわいいなぁ。
左腕に快い痺れを感じながら、僕は大きく背伸びをした。そのとき。
「おい。」
どきりとした。振り向くと、そこにはククールが立っていた。
「おはよう。」
まだ鼓動は落ち着いていなかったが、努めて普通に答えた。ククールはふてくされた顔をしたまま、「ん。」とゼシカを指差した。
「ああ、ゼシカ?よく寝てるね。」
「違ぁう!!なんでエイトとゼシカが仲良しこよしで寝てんだよっ。」
ククールが急に声を荒げたので、僕は慌てて、
「ちょっ…、ゼシカが起きちゃうよっ。」
と諌めた。
「……お前ら。デキ、てんのか?」
俯きながら言う。長い銀色の髪に隠れて、どういう表情をしているのかわからない。わかるのは、握られた両の拳が震えていることだけ。
「ククール、どうしたの。なんで……?」
「どっちなんだ。」
僕は意を決した。ここでジタバタしたって、何になる?真っ直ぐ彼を見つめて言った。
「僕は、ゼシカが好きだ。昨日の夜ね、気持ちを伝えたんだ。」
ククールは俯いたまま聞いていたけど、「そうか。」と小さく言って顔を上げた。
「…ちゃんと守ってやれよ。」
彼は笑顔だった。それは、無理して笑っているようにも見えた。

ククール。
もしかして、君は。

僕が何も言えないでいると、彼はぽんぽんと僕の背中を叩いて、
「さぁて!朝飯でも作ろうぜ。腹が減っては何とやら、だ。」
と朝食の具材を取りに行ってしまった。結局、大事なことは聞けないまま皆で朝食を済ませ、ベルガラックへ向かった。何度となくモンスターに遭遇したが、特に苦戦することもなく、僕らは順調に歩を進めていた。
小さな橋を渡ろうとしたとき、鶏のモンスターが行く手を阻んだ。僕は、コイツもそんなに強くないだろうと決めこんで、何の準備もせずに突撃してしまった。
ククールが弓で先制攻撃を放つ。確かに当たったはずなのに、敵は平然と立っている。
「メラミ!」
ゼシカが素早く魔法を唱えた。モンスターは炎に包まれ、僕もそれに続いて火炎斬りを打とうとして、敵の間合いに飛び込んだ。その瞬間、奴の口端がにやりと歪んだ。
「エイト!!」
ゼシカの黄色い悲鳴が聞こえた。
目の前が真っ白になり、僕は咄嗟に腕で頭を庇った。凄まじい風の刃が僕に襲いかかる。腕から肩、頬までぱっくり裂けた。どろりと粘り気の強い血液が皮膚を伝う。
僕は、そのまま奴を斬った。僕の血とも、奴の血ともわからないものが、地面に飛び散る。かまいたちを打とうと準備していたヤンガスが、慌てて僕にホイミを唱えた。おかげで頬の傷は塞がったが、腕と肩の傷口は開いたままだった。どす黒い血が、ぼとりと地面へ落ちる。不思議と痛みは感じなかったので、僕は再び構え直した。
「おい、バカ!!」
ククールが後ろから僕を掴まえ、戦線から引きずり出した。
「何すんだよっ?」
「……こっちの台詞だね。お前さん、死ぬ気かよ?」
ククールはそれ以降、何も言わずに僕に回復魔法をかけ続けた。あらかた傷が塞がったので、立ち上がろうとしたが、体に力が入らない。
「あ、れ…?」
ふうとため息をついて、彼が立ち上がった。
「回復魔法は傷を閉じるだけだ。出た血までは戻らねーぞ。」
ククールは、「しばらく座ってろ。」と言い残して戦闘に加わった。


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