【私のビョーキ】-20
「これは全部秋雄のせい。でも、オチ○チンが大きくなったのは私のせい。だから、二人で治そう? ビョーキを」
「ビョーキ?」
「うん。愛とか恋とか思春期とか欲求とか、そういうの全部ひっくるめたビョーキ」
「治せるかな?」
「治せないかもね?」
「治さなくていいよ」
「そだね」
互いに顔を見ながら声を上げて笑っちゃう。けれど、それが最後かな。
だって、痛いのに混じって気持ちよくなってきちゃったんだもん。
ユッキー、自分から腰、突き上げてくるし、私も踊っちゃうみたいに振ってしまう。
「美雪、俺、わかんないけど、俺のがすごいなにかに触られて、すごい気持ちいい。
さっきよりずっと、手でするよりずっといい」
「うん。私も、だんだん、秋雄のおかげで、何も考えたくないの……ね、出そうになったら教えてよ、それまではがんばるから……」
痛みの方が強い。けれど、身体の中で時たまうねる波はそれを忘れさせ、そのまま全てを知らない感覚で洗い流そうとしてくる。
「もうダメかも」
「わかった。ねえ秋雄、その時はイクって言うんだってさ……だから、一緒にイコ?ね」
「うん、イクかも、俺、美雪と一緒にイクんだ……美雪、イク!」
「秋雄、私もイク!」
抱き合う私達。
スカートの中で起きている生理現象は乱暴で、彼のものが私の中でゴム越しに熱いマグマを噴出し、私のはそれを搾り取ろうと意志と無関係に収縮を始める。
アッキーは時折悲鳴のような声をあげると、その細い腕でしっかりと私を強く抱きしめる。
脳裏で花火が打ちあがったみたいに視界に火花が飛び散る。一瞬何も見えなくなった私は秋雄を手繰り寄せ、そしてしがみ付き、爪を立てる。多分皮膚を裂いたと思う。けれどお相子だ。
私だって痛かったんだし、それに気持ちよかったんだし……。
トイレの床にへたり込む私達。外ではまだ雨が激しく降り続け、二人の情事を隠してくれていた。
「美雪、怖くないよ。俺がいるから」
私が身体を起こそうとすると、アッキーがそれを阻むので、生意気な彼氏の我侭に、それもありと付き合ってあげる。
「私、震えてたかな?」
「うん。震えてた」
でもわからないのはその台詞。でも、外もまだ寒いし、しょうがなくない?
「寒いから? あ、そうだ、気持ちいいからだよ」
「それもあるけど、違うよ。俺、なんかわかるもん。美雪、泣きそうだって」
「私、泣いてないもん」
そうだ、泣き忘れてたんだ。幸せの後に思い出させないでよ。やだよ。泣き顔なんか見せたくない。お別れは笑ってでしょ? それが相場じゃない? なのに。