憧れの姉さま!〜ねいさんとの朝〜-3
「だってぇ、ひさちゃん可愛くってつーーいつい、ねっ。許してね、ごめん、ねぇ…だめ?」
そう舌ったらずに可愛く慰めながら、頭を撫でてくる手は優しくて、さっきとは違った意味で泣きたくなる。
「あの、ね、ごめ、ごめんなさい。お願い、直すから待って、くだ、さい。ちゃんと、するから、お願い」
ねいさんが好きなの。
知嘉さんが好きなの。
どっちも……好きなの
そうとしか言えない。
どうやったら上手く伝わるんだろう。
女だって思って出会って好きになった知嘉さんも好きなままで。
男の人だってわかったあとでみてきたねいさんも好きになったんだよ。
どっちも同じ人。
どっちだって好き。
私の好きな人に変わりないもん
どうすれば伝わるんだろ…
……わかんない
嫌われたくない、のに
なにも言えない
ハァ〜〜〜〜〜ッ
ねい、…知嘉さんが吐いたため息に肩がびくっと震えた。
「いいよ、もう。悪かった。……ちゃあんと慣れるの待っててあげるから、楽しみにしてあげるよ。好きよーひさちゃん。うふふっ」
ごめんなさい。
心の中で謝りながら、私はどこかのんきに、やっぱりねいさんが好きなんだなーって実感した。
初めて会ったときから私の憧れの人。
ふわふわの髪に、リボンタイのフリルシャツ。
チェック柄のハーフパンツの足元はくしゃっとしたブーツできめた美人が、絡んでくる不良を背負い投げでおっぱらってくれたときから、ずっと。
好きなんだ、ずっと。
ただ――変わっただけで。
『憧れて好き』なのが、『好きで恋しい』になっただけで。
女の格好した可愛い知嘉さんが好き。
だけど、私しか知らないようなギラギラに飢えた男の顔したねいさんも好き。
そんな私は欲張りだってわかってる。