振り向けお前っ!10話〜デート、告白、夏の夜の海・・・-8
「あ、悠太。お帰り」
「随分と早かったですね。そんな時間たってないじゃないですか。」
「あぁ、うん、荷物おいたらまた出かけるって言ってた。」
「じゃあ、神木君も?」
「うん、行く。」
「ああ、だから晩御飯は愛華たちに準備任せきりになると思うけどいい?」
「ええ、でも何作るんですか?」
「俺もわからない。」
「阿佐美さんに晩御飯は私が準備するって言ってたから。」
「準備なら僕やるよ。」
「お、幸兄。準備って?」
「あー・・・うん、後でのお楽しみ、だから自由日楽しんできな。」
何か、よく分からなかったがとりあえず阿佐美が待っていると言うので行く事にした。
「いってきまーす。」
「いってらっしゃい。」
こうして本日2回目のお出かけが始まった。
「で、阿佐美どこ行くんだ?」
「んーどうしようかしら。」
「決まってないのに出かけたのかよ・・・」
(・・・だって久しぶりに2人になれたんだもの。)
と、阿佐美は心の中でひそかに思った。
だけど、それを言う勇気が出ない。
一回、悠太の気持ちを知ってその方向性は自分に向いてるものじゃないものだと分かってしまったからだ・・。
そう、悠太の気持ちは愛華に向いていた。
それを悪く思うこともしなかったし、自分自身で悠太を振り向かせようと思ったから・・・。
でも・・・・それが自分のためだとして、悠太の事を考えずに無理やりには嫌だった。
もちろん、悠太と愛華がくっつけば祝福するつもりだった。
でもまだ、自分にチャンスがある限りはできる事をやるつもりだった。
「デート・・・・」
「へ?」
かなりの小声で言った。
そのため聞こえなかったんだろう。
「何?」
「だから、これからデートでもしようかって言ったの!」
自分の顔が真っ赤になったと思う。
「いいよ。」
当の悠太は何事もないように返事を出した。
一瞬ムカっとしたが快く了承してくれたので良しとしよう。