振り向けお前っ!10話〜デート、告白、夏の夜の海・・・-19
「でも、そう思ってたのは私だけだった、そりゃそうだよね。いつも一緒にいて恋愛感情なんてなかなか沸くものじゃないし・・・しかも私だもん。」
私みたいのを好きになれなんて到底他の男では無理だ。
「だから、今、今だけでいいから、私を思いっきり・・・」
ここから先が言えなかった、言ったら今までの関係に歪みが入ってしまいそうだったから・・。
勇気を出して言った。
「抱きしめてほしい・・・付き合うかどうかは、また次でいいから、愛華ちゃんへの想いが吹っ切れてからでいいから、だから今だけは、私だけを・・。」
そのまま無言だった悠太がいきなり私に近づいてきた。
そして・・・・
私の体に手を回してぎゅっと抱きしめた。
誰もいないはずの海岸で、静かに長い時間・・。
(私は、神木君の気持ちを知ってしまった・・。そして阿佐美さんの気持ちも・・・。私はどうすれば・・。)
こんな事になるなら後を着けるべきじゃなかったと思った・・。
「・・・・ありがとう、悠太。」
悠太はひどい、こういう時だけ凄く優しくなる。
このまま、突き放してくれたら良かったのに・・・。
これからも、このままじゃ気持ちを抑えられなくなる・・。
はやく、一言でいいから、お前とは付き合えないってちゃんと言ってほしい・・。
じゃなかったら、私は壊れてしまう。
しばらくのして悠太が
「答えを言った後にこれをやるつもりだったんだけど・・・・こんな状況だけど、お前に元気を出してもらいたいから・・。」
と一言いった。
悠太の視線には
色々組み合わされてあった今日買った花火があった。
その真ん中には買った覚えがない打ち上げ式の花火が。
そして、悠太は一本の花火に火をつける、そこから上手い具合にどんどん他の花火に火が移っていく。
(私は、今の事は見なかった事にしよう。)
そして、愛華は別荘に戻っていった。
「ねえ、悠太・・。」
「なんだ?」
「これからも、別に皆普通にやっていけるよね?」
「もちろんだ。」
そういった時打ち上げ式の花火の導火線に火が付いた
色とりどりの花火に囲まれながら一個の打ち上げ花火がそろそろ上がる。
ひゅーるるるる、ポン
情けない音を出して上がった。