振り向けお前っ!10話〜デート、告白、夏の夜の海・・・-12
「凄いな。」
何種類もの魚が泳いでいる風景がなんともいえずきれいだった。
「きれい。」
素でそう思った。
自分でも自分が女の子らしい一面があるんだと今思う。
しばらく眺めた後、外に出る。
日が傾いてきていた。
少し休憩ということで、アイスを買ってきて2人で食べた。
「さて、晩御飯までまだ時間あるし、もう少し遊んでいくか?」
「うん。」
何でこいつこんなにも元気なさそうなんだ・・?
自分の事に鈍い悠太のせいであるのだが、
少し前の言葉を言わなければ良かった。
また絶叫マシーンの嵐だった。
が、少し阿佐美も元気が出てきたみたいに見えた。
時折アトラクションで楽しそうにしている顔を見て、少しホッとした。
日が落ちて間もない頃
「そろそろ、最後だな、あれ乗ろうぜ。」
と悠太が不意に指を指した場所を見る。
「観覧車・・・」
「そう。」
2人で乗った。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・」
無音が2人を包む。
それを先に壊したのは悠太だった。
「な、なあ。お前今日はどうしたんだ?朝からずっと元気ないぞ。」
「ちょっと考え事してたから。」
と軽く微笑んで言う。
が、悠太はその顔は無理して作っているものだとすぐ分かった。
「俺が聞いてやるから、何かあるんなら言えよ。」
そんな事を言ってしまった。
その瞬間阿佐美は顔をうつむかせ微かに震え始める。
「・・・・阿佐美?」
その顔に一筋の涙が流れる。