reality ability‐第8話‐刻印・【真】‐-9
「‥‥貴女は何者ですか?」
織音は警戒心を強めつつ、敬語で言った。織音には感じていたのだ。この者が目上である事を。
「‥うふふ。久しぶりね。‥‥貴女もこの姿も。‥私は名前を言わないでおくわ。そうね。仮に“真実の真実の真実”って事かしら?ややこしいけど、これは本当よ?」
彼女の表情からは笑顔でも真剣さが感じられた。織音はじっと相手の表情を見る。
「‥‥信じてはないようね。まぁ、いいわ。これが“あの娘”を導いた私に対する罰なのかしらね。」
織音には解らなかった。彼女が言っている意味やその態度が。
「‥‥じゃあ、帰りなさい。もうここの中に私は来ないわ。‥‥“あの娘”をよろしくね?」
彼女は言い終わると本当に速い行動をした。織音の表情が変わる前に頭に軽く触れた。
「!!??」
織音は触れられた事が解ると頭を抱えながら彼女を見る。その表情からは先ほどの事よりも痛そうだった。
「仕方ないわ。“10万年前”の記憶ですもの。それが当然よ。」
すると、彼女は手を振る。別れの合図のようにバイバイと。その表情は笑顔と真剣さがある真顔の半分半分だった。
織音はその理由を知りたかったが、睡魔や痛みでまた眠るように目を閉じていく。
数分後、彼女は溜め息のように呟いた。
「‥‥私じゃあ、ダメなのよ。本当に愛されている貴女が“あの娘”には必要なのよ。」
‥‥“あの娘”とは誰なのだろうか?謎は深く深くなる一方である‥‥‥
‐精神世界、“過去という記憶”‐
織音は記憶を溢れるように思い出していた。それは“真実”である‥‥‥
「‥‥‥」
織音は真剣な表情だった。今、視ているのは約10年前の天界の事だった。実は織音は天界に戻っていたのだ。しかし、織音は不思議に思っていた。
《‥‥私は天界には行ってないわ。‥‥どういう事なの?‥‥》
織音は崩れ落ちた直後の集神城に居たのだ。そして、織音は誰かに東の森、ホーリーフォレストに呼び出されたのだ。
そこに行くと女性が居た。そこに居た女性はさっき戦った彼女だった。笑顔で喋り出す。
「初めまして。私は貴女にここで眠ってもらうために来てもらったわ。‥‥じゃあ、早速ね。」
織音は混乱した。しかし、彼女は気にせずに指をパチンと鳴らした。すると、織音はいとも簡単にその場に倒れてしまった。
だが、抵抗するように目だけに力をいれた。その抵抗も虚しく次第に閉じていく。目の前の彼女は織音の姿になっていく。