光と影 act.1-1
「今日はいつもよりもっと綺麗だな」
―な、何言ってるの!?
「ほんとーのことだよ」
―ありがと…
「照れてるの? 可愛い」
―もう! あっ もうすぐ朝になるわ! 行かなくちゃ…
「そうか… じゃあまたな」
―えぇ またね!
…彼女が僕と別れても平気な様子が不安を募らせる。僕はいらないんじゃないか? 同情で一緒に居てくれるんじゃないか? と…
彼女と出会ったのはほんの数ヶ月前の話だったんだ。
「ハァ…入院してもうすぐ2年か…だるっ」
僕はなんの病気か難しくてよくわからなかったんだけど、ずっと入院している。
安静にしていれば、特に何も起きたりしないらしいから、ただじっと…つまらない毎日を過ごしていた。
今は夜中… 寝れなくてすることもなくボーッとしている。 今日は満月で電気を付けてないのに、部屋の中は明るかった。
嫌になるくらい…
僕は暗いのが好きだ。 自分のことが見えないから…
入院して間もない頃は高校の友達だってきてくれてた。 でも段々数は減っていって、親も僕のせいで仕事が忙しくなったみたいで週に1度来ればいい方。
話し相手は担当の医者と看護師さんのみ。
個室で同じ部屋には僕1人。だから、孤独をひしひしと感じ、人と触れ合うことに億劫になっていた。
!!! その時だったんだ! 僕の人生が大きく変わったのは…
―ルンランル〜ン♪ ルンルン♪
鼻唄を交じりに何かが窓の外を通った…!!
「へっ!? ここ8階だぞ!!」
―えっ…
"それ"はこっちに戻ってきた。