『hope〜ある少年とお菓子〜』-2
「とりあえず、それを出してもらっていいですか?」
「いいよ。ちょっと待ってねぇ〜」
奥のバカでかい金庫に暗証番号を押して、例のお菓子を取り出す。真っ白な皿に乗せられたお菓子の正体。それは金色に輝く麸菓子。
これが『願いを叶えてくれるお菓子』。思わず息を飲んだ。
「名付けて『ふーごん』だ!」
校長は胸を張って言った。付き合っていることに疲れたので、それを無視して、校長に確認した。
「これが『願いを叶えてくれるお菓子』ですか?」
「そーだよ。だっておーごんだよ、おーごん! 見るからに『願いが叶うぜ』って感じがするじゃん!」
願いが叶うことと黄金は関係ないと思うのだが……。やっぱりこの人の思考にはついていけない。ついていこうとも思わないけど。
「食べていいですか?」
「どーぞ、どーぞ。あ、でも、私の分は残しておいてね。あとで食べるから」
これ以上叶えることはないだろう。いや、性格を治すことを願って食ってくれ!
金色に輝く麸菓子をちぎり、口のなかに――モテモテになることを願い――放り込んだ。あまり味がしないので、本来はあまり好きじゃない。でも、心なしかうまいと思う。願いを叶えてくれる、事が味に変化をもたらしているかもしれない。
「あ、言っておくことがあった!」
思い出したように校長は言った。ついにボケが始まったか?
「それのお菓子、願いなんて叶わないよ?」
「は?」
「だからぁ、願いが叶うお菓子なんてあるわけないじゃん」
おいおい、何いっちゃてるの? またいつもの冗談ですか?
「なんで……?」
「ああ、話相手になってくれる人が居ないから、私が流したんだよ。へへっ」
嬉しそうに校長は語っている。一方僕はショックがでか過ぎて叫んでいた。
「なんでだぁーーー!」
そして、僕の災難は終わりを告げた。
END
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