未完成恋愛シンドローム - 目覚め --9
「・・・」
―なんでこんなこと気にしてんだ。
あくまでコタローとは友達「だった」だけ。
あのことがあって、友達が、ただ知ってるだけの、話しをするだけの人になっただけ。
「・・」
お経のような声はまだ続いてる。
―ねむ・・・。
考えごとをやめ、黒板を見る。
「・・・」
なにも書いてない。
抑揚のない読文が聞こえる。
―あー・・ダメだ・・・。
まぶたがどんどん重くなって来る。
・・・・・。
「伊吹ちゃーん」
「・・。起きた・・・」
放課後。
いつの間にか寝ていたらしいオレは、結局終礼が終わるまで寝てたらしい。
「伊吹ちゃんよだれ・・・」
「・・・」
無言のまま袖で口元を拭う。
「汚ない」
「オレしか着ぃひんねんから別にええやろ・・・」
まぁでも、確かに衛生上は良くない気はする。
周りを見回すと、みんな思い思いに帰る用意をしている。
「あ、いた」
「ん?」
声のした方を見るとカイトだった。
「なに?カイト」
「イヴ呼んだんちゃうで」
―あ?
「よーちゃんよーちゃん」
異論の声を上げようとした瞬間に話を進められた。
―のやろ・・・・。
「なにー?」
カイトの方に寄っていく和葉。
「ちょっとよーちゃん借りるでー」
笑顔で手を振りながら言うカイト。
好きにしろと思いながら、首を縦に振る。
「・・・・さて」
立ち上がり、後ろのロッカーの中に入れてあるリュックを取りにいく。
「・・・・あ」
不意にあることに気付き、リュックを取ってから机の中の手帳を取り出す。
―今日は・・・・。
スケジュールを見ると、日にちの所にはバツがついていた。
「なんや、休みか・・・・」
普段は毎週この日は練習は無いけど、たまにある日がある。
―あるかと思った・・。
約束をした後ではあるけど正直な話、あんまりコタローの家に行きたく無かったのもあったんで、一応確かめた。
・・・・。
―そう言えばゆーしの奴、和葉が行くなら来るとか言ってたけど、大会前に練習休んでええんか?
一瞬そう思いながらも、別にゆーしだってガキじゃないんだしと考え直し、帰る準備を始めた。