未完成恋愛シンドローム - 目覚め --7
昼飯を食べ終わった後。
カイトは先に帰って、しばらくゆーしと新作のゲームの話をしてると、いきなり学内放送が入った。
どうやらゆーしにらしいけど・・・。
「なんかやった?ゆーし」
「この頃してへんって」
―この頃・・。
「つか、部室やろ?」
「うん。・・・あ」
ゆーしの顔色が変わる。
「なにやったん?」
「してへんっ!・・今度の練習試合のミーティングのことすっかり忘れてた・・」
「・・・・」
―バカだ。
「スタメン外されても知らんで」
「う。と、取り敢えず行ってくる」
言うなり席を立ち、走って学食を出ていくゆーし。
・・・。
「せめて自分が喰ったもんくらい片せ・・」
一人でゴチる。
仕方がないのでゆーしの分も片付け、まだ授業が始まるにも早いので、ぶらぶらと校舎を歩く。
「・・・?」
2つある渡り廊下の内の1つを歩きながらふと横を見ると、コタローとカイトの姿が見えた。
「・・・あんなとこでなにしてんねん」
少し気になり、そっちに向けて歩いて行くことにした。
もう一つの渡り廊下。
こっち側には倉庫とかしかないから、あんまり人がこない。
歩いて行くと、微かに声が聞こえる。
なにを言っているのかはよく聞き取れない。
角を曲がると、向かい合ってなにかを喋っているカイトとコタローの姿が見えた。
「・・・?」
コタローがなにかを手に持っている。
カイトが渡したんだろうか?
2人共、半分斜めみたいな体勢でいるせいで、なにを持っているかまでは見えない。
「カイト」
声を掛けると、2人が同時にこっちを向く。
もっともコタローは、オレの顔を確かめた瞬間、視線逸らしやがったけど・・。
「なにしてたん?」
「お話」
ニヤッと微笑いながらカイトが答える。
―判っとるがな。
「大事な話?」
「んー。大事っちゃ大事やし、くだらんっちゃくだらん」
―意味判らん・・。
「カイトとコタローって、なんか組み合わせとして珍しいよな」
軽く皮肉混じりに問い掛ける。
―・・・?
ふと思った。
誰に?なんのための皮肉なんだ?今のは。
「昔っから仲えーで、オレら」
コタローの肩を抱きながら(背が違うからかなり無理があるが)カイトが言う。
「・・・」
視線を逸らしたままのコタロー。
「・・ま、えーけど」
―別に興味ないし。
心の中で思いつつも、こないだコタローに襲われた時のことが蘇る。
「・・・」
―そういう意味の仲イイか・・?
自分の予想を鼻で笑い飛ばす。
「どしたん?イヴ」
「カイト」
「?」
―知ってる?
言おうとして、やめた。
発想が飛躍しすぎてる。
「なんでもない」
「?変なイヴ」
―一番変なんはお前や。
そう言いかけて、またやめた。
「オレ次体育やから着替えるー」
・・・。
カイトの言葉に弾かれたように中庭にある時計を見ると、既に5限目10分前だった。