未完成恋愛シンドローム - 目覚め --6
「なにが哀しゅーてみんなで行かな・・・つか、そもそもみんなって誰やねん」
「え?ボクと伊吹ちゃん・かーくん・裕士郎くん・・・あたり?」
―あたり?
幼なじみの沈痛な提案に軽く目眩を覚え、眉間を指先で揉む。
が、ここで断るとまたいらん詮索をされそうで嫌だ。
「別にえーけど・・あいつん家行ってなにすんねんな」
「え?」
和葉が固まる。
・・・・。
―なんも考えてなかったな、こいつ。
「麻雀?」
「・・・・・」
確かにこないだ麻雀やったけど。
更にその時、思い出したくもないくらいにカイトと和葉に負けたけど・・。
「いつも通り、格ゲーでえーんちゃう?」
―なんでオレが提案してんだ・・。
「逃げた?」
「ちゃうわ!!」
こいつは本当にサラッと失礼なことを言う。
軽く頭を抱えながら、チラッとコタローの方を見る。
「・・・・」
いつの間に起きたのか、そしていつの間に教室を出ていったのか、そこにコタローの姿はなかった。
・・・・・。
「コタローん家?」
「そう」
―PM 0:43
昼休み。学食。
目の前にはカイトとゆーしがいる。
コタローには自分が伝えるからと和葉が言うので、オレは取り敢えずこいつらに伝えてる。
「イヴが考えたん?」
「んな訳ないやろ・・・和葉や和葉」
「・・・・」
人の肉うどんの肉を掠め取ろうとするカイトをはたきながら答える。
―っていうか、
「どしたんゆーし?」
さっきからゆーしが一言も喋ってない。
「和葉ちゃんは?」
「ああ。コタローと話ししに行くってゆ―」
「そやなくて、和葉ちゃん来るん?」
そっちか。
「来るもなにも、今回の言い出しっぺ和葉やし」
軽く苦笑いを浮かべながら答える。
「まぁ、よーちゃんらしーと言えばよーちゃんらしー」
「行くっ」
こいつらは・・・。
話の側から人の分析してるカイトと、取り敢えず目先?だけ考えてるゆーし。
それを呆れながら見てるオレも、変な奴か・・・。
「んじゃ、ゆーしもカイトも参加な」
言って、出汁を飲み干す。
「え」
「あーい」
・・・?
「え、ってなんやねんカイト?」
オレとゆーしが同時にカイトの方を見る。
「オレ、行かへんで?」
・・・。
「まぁ、別にえーけど・・・・」
そういえばこいつ、行くとは言ってないな確かに。
「・・そこで露骨に嬉しそうな顔すんな、ゆーし」
「え?」
軽く固まるゆーし。
「オレ居らんくて・・嬉しいん?ゆーし」
「ええ!?」
(嘘っぽい)哀しい顔をして、ゆーしを見るカイトに、更に焦るゆーし。
―まぁ判りやすいけど・・。