未完成恋愛シンドローム - 目覚め --12
「・・・・」
「・・・」
結局残されたのは、オレとコタローの2人。
「どうする?イヴ」
コタローが口を開いた。
「どうするもクソも・・・」
ため息混じりに返す。
「そもそもあんた、部活は?」
逃げを打つように聞き返す。
「休むってゆってもたしな」
「大会前やのにええんかい・・」
「イヴは?」
「オレは・・そもそも今日部活休みやし」
今までオレ達は基本、みんな好きでやってる部活だからあんまり干渉しないようにしてきた。
まして、今のオレとコタローの仲(?)であれば、尚更ではあるけど・・
「行けばええやん、部活」
今の関係と、この場の空気が、オレにこの言葉を言わせた。
「んー・・・・」
コタローが、少し考えるような顔をする。
その顔を見ながら、オレは少しだけ自分の発言を後悔していた。
仮に、オレが誰かにちゃんと行けだの何かをやれだの言われたら腹は立つし。
「やっぱ今日は休むわ」
―やっぱり。
オレ以上の天の邪鬼なこいつが、易々と行くわけもなかった。
「イヴ」
「あ?」
空気も空気なので、どうしようか考えていると
「うち来る?」
こいつはとんでもないことを言い出した。
「・・お前、本気でゆーてる?」
表情が強張っているのが、自分でも判る。
「嫌?」
・・・。
「質問を質問で返すな、ボケ」
自然に言葉も荒くなる。
「嫌やったら別にええけど」
無表情に言い放つコタロー。
「・・・」
その仕草が、なんとなく癇に触る。
「えーよ別に。行ったるわ」
「そっか」
コタローが歩き始める。
慌てて、遅れないように小走りでそれに着いていった。
・・・・・。
―着いたし・・。
結局、道中ほとんど会話らしい会話もなく、コタローの家に着いた。
今日は最初から鍵を使って扉を開けようとするコタロー。
―ってことは、今日は始めっから人居らんの知ってんのか・・。
そう思うと同時に、軽く後悔した。
もし今日もコタローが前と同じことをするつもりだったなら、完全にオレはハメられた形になる―
「あれ?」
「?」
そんなオレの思考を余所に、コタローがガチャガチャとドアノブを弄くっている。
・・・。
「なにしてん?」
「いや・・開けた筈やのに、開かへん」
・・・・。
「ほんまに開けたん?」
「手応えはあったし」
「逆っ側は?」
そう言って手を伸ばし、鍵を捻る。