AH! MY GODDESS ラストストーリー-16
『よ、よせって!みんなが見てるってば……』
恐る恐る螢一が顔を上げて視線を走らせると、三人の女神が自分を見ていた。
何故だかわからないが、妙に納得した表情で頷く女神がいる。
『リンド……』
半ば呆れ顔のまま、それでも笑みを浮かべる女神がいる。
『ペイオース……』
そして、最後の一人である褐色の肌の女神は、口許にニヤニヤと意味深な笑みを浮かべたまま、螢一を見つめていた。
『な、なんだよウルド……』
『いや、あんたにしちゃ粋なコトしたなぁ……ってさ。』
『え?』
『カーテンをケープがわりにするなんてね……』
ギクッ!
誰もいなかった筈なのに何故?螢一の頬を冷汗が伝う。
『何の話しだ?』
『何なんですの?』
『ね、姉さん!また!!』
三人に詰め寄られ、ウルドは慌てて両手を振った。
『わ、私じゃないわよ!!あそこにね、ヒルドの使い魔が残ってたのよ。』
と、一旦は慌てたものの、軽く腕組みをすると
『にしても、あんなコトされたらグッと来ちゃうわよね。女としては……』
そう言って、ニヤリと笑うとウルドはベルダンディーを見た。
『意味がわからないのだが……』
『ですから一体、何なんですの?』
『や、やめてよ姉さん……』
茹蛸みたいに真っ赤になっている螢一と、頬を赤らめて口ごもってしまうベルダンディー。
依然ニヤニヤ笑いのウルドと二人を交互に見比べ、ペイオースとリンドは顔を見合わせた。
『そうね、あんた達二人は当然の権利だもの、後で見せてあげるわ。螢一とベルダンディーの結婚式を……。』
そう言ってウルドはニンマリと笑う。一瞬、驚いたものの、事の次第に納得したペイオースとリンドは、ウルドと同じような笑顔を見せた。
『それは是非とも拝見したいものだな。』
『そうですわね。私には見届ける義務がありますもの……』
『じゃあ主役を連れて家に帰るとしましょうか?』
うきうきと楽しそうにウルドは螢一の傍に来ると、腕を取った。そして、耳元に小声で……
『大丈夫よ、見せるのは結婚式までにしとくから……。』
そう囁いた。
赤から青ヘ………螢一の顔色は目まぐるしく変化し、ウルドの言葉が頭の中を駆け巡る。(まで…まで?…まで!?)聞くのが怖い……けれど、聞かない訳にはいかない……。背筋に寒いものを感じながら螢一は、呟く。