想いのいきつく果て〜憂える想い〜-1
翌朝、けたたましい電話のメロディで目が覚めた。
「…ん…はい…」
「おはようさん!」
「…しの…くん?」
「そやで〜外はええ天気や!どっか行かへん?」
眠い目をこすりながら時計をみる。
「なに寝呆けたこと…それにまだ7時にもなってないよ…」
「ひろ!顔洗って可愛くするんやで。今日はお出かけやからな〜!」
ふざけた調子でいうしのはまるで子供のようで憎めない。
「………」
「ええから、とにかく用意できたら電話してな」
そこで電話は切れた。
「…なに……?」
訳もわからないまま、とりあえずシャワーを浴びて化粧をした。
昨日の傷が更に青くなって腫れてる。
「はぁ〜〜」
思わずため息が出た。
旦那は昨日出ていったまま帰った様子はない。
しのに電話をかける。
「もし〜ひろ?用意できたん?」
「…うん出来たけど…」
「そしたらあったかい格好して外出てみ!」
「……しのくん…言ってる意味が分からないんだけど…?外寒いし…」
「ええから!外、気持ちええよ〜!」
「……はいはい、わかりました」
とりあえずしのの言う通り外に出てみた。
上を見上げると雲ひとつない澄み切った青空…
確かに気持ちも洗われるような天気だ。
はいた息が白くなるほど外気が冷たい。
「さむっ…」
背後から音がした。
ふと振り向こうとした瞬間、後ろから優しく抱き締められた。
「キャッ!」
「おはようさん」
私を包みこむ大好きな声が耳元で聞こえた。
「え…」
「びっくりしたやろ〜?ひろに会いたくて高速飛ばして来たんやで〜」
後ろを振り向くとそこには私が一番会いたかった人がこちらを向いて微笑んでいる。