想いのいきつく果て〜憂える想い〜-2
「しのくん…なんで…」
微笑んでいた顔がみるみるうちに怒りのこもった顔に変わる。
「…ひろ…何されたん?」
私の腫れた頬と唇をそっと撫でながらしのが怒りに震えている。
「あっ…」
「…旦那にやられたんか…」
「……」
しのは無言で私の手をとると車の後部座席に私を乗せた。
「紘子…後ろなら誰にも見られんし、ゆっくりできるやろ?」
私の頭を撫でながら憂いを帯びた目を向ける。
そのまま優しく抱き締められ、私の背中を擦ってるしの…
「…ひろ…ごめんな…お前のこと守ってやれなくて…ほんまごめん…」
「…しのくん…」
しのが私の顔を見つめ、唇の傷跡にそっと口付ける。
「…ほんまごめん…」
何でそんな苦しそうな顔するの?
しのくんのせいじゃないのに…
「しのくんは何にも悪くないよ……私は大丈夫だから…」
しのに向かって精一杯の笑顔を作る。
そんな私を見てしのはさらに辛そうな顔をする。
「紘子…お願いやから俺の前では無理せんといて…辛い時まで笑うな…」
しのの手が私の頭を引き寄せ胸に押しつける。
フワッとしのの匂いが私を包みこみ、それまで我慢していた気持ちが一気に溢れだした。
零れ落ちた涙がしののシャツに染みを作っていく。
「…しのくん…うぅっ……うわぁん……」
どれくらいの時間だろう…長い間、子供のように泣きじゃくった。
その間中ずっと頭を撫で、背中を擦ってくれた。
気分も少し落ち着いた頃、お腹に固くなったものが当たっているのに気付いた。
「…しのくん…当たってる…」
「……ごめん……」
しのの耳が真っ赤に染まってる。
「……泣いてる子を襲うほど理性ないわけやないから安心し……」
「……しのくん…」
私はそっとしのに口付ける。