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想いのいきつく果て
【女性向け 官能小説】

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想いのいきつく果て〜揺れる想い〜-5

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『あんた誰?…しのシャワー浴びてるんやけど…』

流れるような関西弁の女の人のセリフが頭の中をこだまする。

羽田に着くとすぐに電話した。
しのがいない世界があまりに無機質で…
私をまるごと包みこんでくれるしのの優しい声が聞きたくて…


バカだ私…


空港を出ると外は霧雨だった。
家に帰る足取りも重い。
そんな気分を奮い立たせて家路についた。

玄関の前で、もう何度目かわからないため息をはく。

「あれ…帰ってるのかな…」

鍵が開いていた。
中は真っ暗だ。
電気をつけリビングに向かう。
ソファーに人がいるのがわかった。


「…!?いたの?電気もつけないで…びっくりしたよ」

「……」

「お風呂入ってくる」


なんとなくその場にいたくなくてそう声をかけた。


「おいっ!」

「え?」

振り向くと同時に頬に痛みが走った。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
気が付くと床に飛ばされて、口の中は血の味がした。
「お前、今日どこに行ってたんだ」

「え……」

私は頬を擦りながら殴った張本人を見つめた。
顔を真っ赤に染め、手が小刻みに震えている。

「答えろよ!それとも言えないようなとこか?」

目の前にいるこの男は本当に10年間生活を共にしてきた家族だったんだろうか。自然と冷めた目を向けていた。

「……」

「なんだよその目は!俺が家を空けるのをいいことに外でご漫遊か!」

「……」

「だんまりかよ!何か言いたいことがあるならはっきり言えよ!」

「…ずっとほったらかしだったじゃん…私が歩みよってもいつも避けてたじゃん…なんで急に…自分の思い通りにいかなくなったら殴るの…」


目の前の拳があがった。
殴られる、咄嗟に目を瞑った。


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