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けんぽなし
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けんぽなし〜再開〜-3

「ねぇ〜、付き合ってるの?仲間君とさ〜…」
ドキン…
そう声をかけてきたのは前の席の坂井 ゆらら(さかい ゆらら)だった。
「気になってたんだ〜…入学式の時から仲良かったからさ〜…」
「ち…違う、違う!!」
私、首を大きく横に振る…

ズキー…

ー…こんな事くらいで胸が痛むだなんて…

「だよね、彼女いるもんね…」
ズキっー…
ーう…
「…うん、知ってる」
ーうん…大丈夫…うん…
まだ間に合う、どきっ、てしただけだもん…恋にはならない…

恋愛の経験値がない私には、彼女がいるなんて荷が重すぎる…


「瑞希、ダッシュしろっ!!」
耕太郎は終礼後に私の荷物を抱えて教室を飛び出した…
「え……あっ、ちょっ、ちょっと、こーたろーーーー」
私、坂井さんに手を振り、耕太郎の後を追った。

「瑞希〜…遅すぎ…」
昇降口で足踏みをしながら耕太郎が待っている…

きゅんー…

ーだ…ダメダメ…耕太郎には彼女いるし……て、違う、違う!!今はそんな事!!

ああ〜…自分が情けない…


ー…まつぼっくりが…あったとさ…たーかいおやまに…

私の足がピタリと止まった…

いつもここまでは大丈夫で…
これから先に足が進まない…いや…体が動かない…

太一の家の前…

私はどんぐりを握りしめた…手も足もじんじんして、どんぐりの感覚が遠ざかる…
自分の心臓が動く感覚さえ遠ざかるようで…うまく空気が取り込めない…

ー…ころころころころ…転がって…

「何歌ってんの?何かすげー懐かしい歌だな〜」

!!っ、はっー

ーうそ…声に出てた…?…

「よし、行くぞ」
ーっ…
やっぱり…
足が動かない…

「…め…私…」
私、小さく首を振った。

!!っ

耕太郎、暖かい手を私の顔に押し当てる…

「このままじゃダメだと思ってるんだろっ、だから、太一の事話すときに俺の顔見れなかったんじゃない?」
「………」

耕太郎の手がゆっくり離れ、そのまま私の手をそっと握る…
ドキ…

ーあ……

耕太郎の暖かさが体を弛緩させた…


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