under the moon-3
どのくらいそうしていただろう。幾度も目があい、心の氷が溶けるように。自然に私は言葉を洩らした。
「寂しかったの」
「うん」
「寂しかった」
涙が滲んできた。もう胸の痛みは隠しきれなかった。
「見てください」
彼は窓を指差す。
空は、赤と青が混ざりあい、夜明けを教えている。
「明けない夜はないんです」
ゆっくり、ゆっくりと太陽がのぼる。彼は私をギュッと抱きしめた。
「夜が明けるね」
私は彼の胸の中でなんとか言えた言葉。それは、私が待ち望んだもの。
「夜が明けるよ…」
ぽろぽろと涙が溢れた。彼の体は、なんだかお日様の匂いがした。
「僕、あさひ、ですから」
くすっと、私たちは笑った。
まだ月の下。朝日の差しこむ窓の横。
「また飲みに行こうね」
「はい」
もう怖くないよ
だって闇はいつか
明るい光を向かえるためのものだって
わかったから