僕とあたしの夏の事件慕? 第一話 「お金持ちは色々タイヘン!」-15
「あんまり可愛いから女の子かと思ったわ、ねえ楓」
今度は背の高い女性が現れた。この人が梓さんのお姉さんかな?
紺色のスーツ姿で知性的に見えるけど、隠しきれない胸のふくらみとくびれた腰周りが女性としての魅力を見せる。肩にかかる髪と、切れ長のいかにも高圧的な目が怖い雰囲気を漂わせるけど、総合的に綺麗な人だと思う。
「あの、失礼ですが、あなた達は?」
梓さんも知らない人みたいだから、さっき言ってた飛び込みのお客さんかな?
「私は真澄藤一郎さんの依頼を受けました、弁護士の久賀理恵と申します」
理恵さんは梓さんに一礼する。
「こっちは私の事務所のお手伝いの青海楓」
「え? あ、あぁ……と、青海楓です。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
丁寧にお辞儀する楓さん。かなり礼儀正しい人なのだと思う。
「でも、パパからの依頼って、なんで今更になって?」
「えっと、真澄梓さんよね? 私達弁護士は例え依頼主の親族でも依頼内容を言えない決まりなの。守秘義務ってやつね」
「そうですか……」
「私は遺言書の公開するように頼まれているんだけど、それが何処にあるか詳しく教えられていないの。この別荘の何処かにあるみたいなんだけどね……」
「おい……久賀さん」
「楓君は黙ってて」
きつい目つきで睨まれると楓さんは縮こまってしまう。やっぱり怖い人なんだ。