見返りは君でイタダキマス-1
「ミカ、あーはいはいミカさんはさぁ……男みる目ないね」
ひっどい言いぐさ。
そんなこと思うのにいつまでも年下のこの子に甘えちゃうのは、そのあとに思いっきり甘やかしてくれるからだ。
とか、責任転嫁。
ぐずぐず泣く私に向ける目は小バカにしてて、お前…私よりガキのくせして!とか思う。
……思うのに。
「しょーがなーい、なぁ!っと」
そう立ち上がって部屋を出てった楓が、ちゃーんとミルク多めはちみつにジンジャーも入れたミルクティーを手に戻ってくるのが、もう私の中じゃ当たり前だから…困っちゃう。
それを考えると顔が緩んできちゃうから。
楓のいれるミルクティーが一番おいしいの。
楓は親戚のおばさんの紹介でやることになった家庭教師の生徒さん。
小遣い稼ぎ程度に昔から続けてるせいか付き合いも長くて、今じゃ色々腹割っちゃって……誰にも言えないことも言ったりして…なんかある度、楓に泣きついてる。
楓の生意気さに救われたりしてるし……こういうね、こういう!
……さりげなーくツボついた優しいとこが、ね
ぁーんもぅ!
だめなの……だめなの〜
だから毎回泣きついちゃうのよーっ!
大学生にもなって!
中学生に泣きつくな!
私!!!
ていうか楓一応受験生なのに……っ!
とか…とかさぁ…思うのにね
でも、楓に甘えるのはやめらんない。
なんだかもう…一番身近にいる味方みたいで、弟みたいな子なんだもの。
って言っても………私が妹っぽいけど、ね!
「ほい、飲めば?男に弄ばれたなーんて……正直ちょっとツラいだろ」
なんでそんな声が柔らかいの
トーンが気づかってるってすごいわかる
そう…それにこの!
この……ナマイキの中にた〜まにある優しさが染みるのよぅ〜〜……
とか受験生に失恋話を愚痴るおバカな家庭教が、……実はキミがあまりにも理想すぎてうまくいかないんです、とか言っちゃったら楓もさすがに驚くだろう。
てか引いちゃうよね…
私が過去フラれた原因っていうか理由が『ミカは俺に、誰を重ねてるの』『理想高すぎるよ』だった。