見返りは君でイタダキマス-6
「甘ったるい顔してるなぁって。目なんかうるうるしちゃってさ、すごいカワイーよ」
「だから、なに…、ソレ」
やだやだ、…取り消したい。
逃げたい。
「ミカこそ何だよ。さっきの」
バッ……!!
ほとんど反射で体を逃がそうとした私の髪をひっつかんできた。
「かえで、痛い……」
「逃げる方が悪いんじゃないの?」
仰る通り………。
「アレ、どういう意味だよ」
どうって……どうって……そんなの簡単に言えない。
簡潔に言うなら、これでしか言えない。
「か、えでが……好き」
「ふーん」
……ふ、…『ふーん』って…
頭の中は傷つきたくなくて『なかったこと』にしようと逃げ道ばっか考えてる。
そのくせ楓からハッキリした答えを欲しがってる。
「その好きって、ライクで?……ラブで?」
なんで…なんでか、今だけ楓は優しくない。
ごまかされてやんないってオーラが空気をピリピリ伝わってくる。
一緒にすごい楽しんでるのもわかる。
ライクって逃げたい。
お姉さんとしてはショックだったなぁ、とか言って……逃げたい。
楽しまれてるだけなら。
でも、賭けたい。
そのごまかされないは、その楽しそうなのは、私が好きだからかって……賭けたい
自惚れたい
「ラ、ブ。の方」
言った途端、私は楓に倒れ込むように抱き締められていた。
「……はぁ〜っ…よかった。やっとじゃん」
心底、ホッとした、みたいな声になんとなくわかった。
「そんなに待ってて、くれたの?」
「ずーっとだよ。ずーっと!!……フラれる度喜んでたっつの!付き合う度へこんでたよ……あーっ!…よかった。あ」
マジだよね……?
おそるおそる聞く楓の額と額を合わせて笑った。