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見返りは君でイタダキマス
【理想の恋愛 恋愛小説】

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見返りは君でイタダキマス-5

今だっていきなり玄関前で座り込んで泣きじゃくるみっともないオンナにこんなにも優しい

私はいつもその優しさがあるから安心して頑張れた


なんで気づかなかったんだろう

なんで気づかないでいられたんだろう

なんで気づいてしまったんだろう


私は―――もう、この優しさがもらえないとしても、伝えたい


吐き出したくも消化したくもない。

ただ、――伝えたい。

知って欲しい。


好きなの。
楓が好きで、ひとりじめしたいの。

私だけに笑って
私だけに意地悪くいて
――私だけに優しくして
私だけを、愛して欲しい

伝えたいだけなんて嘘。
私の好きはワガママすぎる。
欲張りで贅沢すぎる。


「楓、やだ」

「私じゃない人に笑わないで」

「優しくしないで」

「楓ぇ…かえで……やだぁ。もう、やだぁ」


何――だだっ子みたいなこと言ってるんだろう


言ってる私だってわかんないこと、楓がわかるわけない


「ミカ」
ぐいっと覗き込んでくる楓のまっすぐな目。

私はこの綺麗な目をした子に……こんなにオンナの自分を曝してる

もう、――隠せない


隠したくない




精一杯見つめ返すと、楓は笑った。

「今のミカ、なんか仔犬っぽいね」

「な、…に。それ」

わけわかんないこと言いながら私の頭を抱えて、体を揺らす楓は楽しんでるみたいで。


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