Cure's CHOCOLATE-4
「そのすぐ後哲希が告白してくれて付き合ったんだけど」
「ちょっと待ってください」
「ん?」
それじゃおかしいことがある。
「哲希のことは好きじゃなかったの?」
「好きだったよ。その人ほどではなかったけど」
「それなのに付き合ったの?」
「うん、付き合ってくうちに好きになるもんでしょ?」
「そうなんですか…」
「それでね、私が中三の頃かなぁ。そのフラれた人から告白されたの。不思議だよね、無くなったと思った気持ちがまた大きくなりだしたんだから」
静香さんの糸はまた繋がった。その代わり哲希の糸が切れちゃったんだ。
心のモヤモヤがまた少し大きくなった気がした。
「哲希には悪かったけど、やっぱり私その人と一緒にいたかったから…」
「今は?今も一緒にいますか?」
アタシがそう聞くと、静香さんはフルフルと首を振った。
「今はまた別の人」
何で?とは聞いちゃいけない。それは静香さんの事情で、アタシとも今回の話とも関係無いから。
「哲希は…静香さんと別れたこと辛かったんです。当時のことをアタシはよく知らないけど、本当に哲希は静香さんを大好きだったと思います」
アタシ何言ってんだろ。アタシの中のモヤモヤが言葉になって、アタシの口から吐き出されていく。
「うん、そうだったね」
「じゃあどうして、哲希を傷付けたんですか?」
「…やっぱり諦めたくなかったの、哲希を傷付けてもいいから私はその人のとこにいきたかった」
体の奥がカッと熱くなった。
「そんなの、勝手です!哲希の気持ちは考えてあげなかったんですか?」
今でも哲希の傷は治ってないのに。
「だって、こんな気持ちのまま付き合ってたってお互い傷付くだけじゃない…」
静香さんが下唇を噛んで顔をしかめた。
アタシ…言い過ぎちゃったかも…。
思ったまんま静香さんにぶつけて、傷付けた…?
「そのおかげって言ったらおかしいけど」
静香さんは顔を上げて目を細めた。
「…哲希は私に付けられた傷を癒してくれる人を見つけた。しかも、私以上の存在になれる子」