「背徳の戯れ」-2
「…イヤなの？」
男の問いに大きく頷く。
「そっか。なら仕方がないね」
その言葉に安堵したのは舞の早とちりと言うものだった。
予想外に素早く延びてきた手によって、舞はあっと言う間に後ろ手に縛り上げられてしまう。
赤い紐は決して食い込んではこなかったが、舞の自由は完全に奪われてしまった。
一方、男の方は奥に敷いてあった布団を筒状に丸めていた。
ある程度の高さを確保すると舞を抱えてその上に俯せに寝かせた。
すると、自然と腰が浮き、お尻を突き上げるような格好になる。
そのまま男は舞の膝を割り体重をかける。
襦袢の裾が捲れ上がる感触がした。
「…やぁっ」
舞の上げた悲鳴は、小さく口から漏れて、消えた。
「うっ、くっ…」
臀部を襲うおぞましい感触に、舞の頬からこぼれた涙が枕を濡らす。
ピチャ、ピチャ…。
男は、わざと粘着質な音を立て、左右に押し広げた舞の不浄の窄まりに舌を這わせていた。
穴の周辺をザラザラとした舌先で舐められ、粘り気のある唾液を垂れ流される都度、舞の皮膚はぞわぞわと収縮し、立毛筋を粟立たせる。
「ひゃあぁっ！」
舞の口からか細い悲鳴が上がった。
男が自分の唾液にまみれさせた舞のすべらかな臀部に冷たい息を吹きかけたのだ。
次いで、再び顔を近づけた男は風船を膨らますかのように口を付け、舞の中に唾液と空気を送り込む。
皮膚の内側を雫が伝い落ちる感覚も冷めやらぬまま、今度は筒状に丸められた舌先が侵入し、舞は思わず身じろきをする。
しかし、紐と男の体重によって固定された躯には行き場所はなく、かえって舌先を深く受け入れる結果に終わる。
「厭がってるかと思ったら、舞ちゃんは随分と積極的だね」
話に聞いたとおりだと男は呟く。
その言葉の意味を、舞が尋ねようとしたところで男が身体を起こす気配がした。
「そろそろ解れたね」
指先が、割れ目をスゥッと撫でていった。
そのまま男は立ち上がるとカチャカチャとした金属音を立てながら何かを抱えて戻ってきた。
「折角だから舞ちゃんの前で準備をしようか。初めてならどうやるかしっかり見たいだろう？」
鈍く銀色に光る洗面器にポットからお湯を注ぐと、男はそこに水を足し温度を調整する。
「本当は薬液の方が苦しいんだけど、それじゃ量が入らないからね」
舞に見せたその笑顔は驚くほど嗜虐的だった。
男は、洗面器に注射器の先を差し込むとゆっくりとお湯を吸い上げ始めた。
再び、舞の背部に回り込んだ男は、ゆっくりと注射器の嘴を舞の掲げさせた窄まりにあてがっていく。