過激に可憐なデッドエンドライブ-41
「うっ―」
そして、襲い来る痛み。骨が軋むように鳴っている。
昨日見た夢と全く同じ症状だった。
燃えるように身体が熱い。
急激な新陳代謝。
身体が大急ぎで作り変えられていくような感覚。
「ぐあああああ」
倒れこんで叫び声をあげる。
それでも、やたら防音の良いこのマンションでは誰も駆けつけてこない。
壮絶な痛みの中でのた打ち回る。
そんな時、背筋の凍る音がした。
しゅぼっという音。
指の先に火がつく音だった。
火元なんて全く無いはずなのに、なぜか自分が燃えようとしている。
「あ、ああ―」
徐々に拡がっていく真赤な炎を見つめながら。
その赤い輝きに飲み込まれるように。
意識が遠くなっていった。
…その戦いは三日三晩続いた。
その勢いは凄まじく、辺りの地形を変えてしまうほどだった。
自分は無敵だった。
幼き頃より、ただ力だけを求め続けた。
何百年と続く乱世を駆け抜けて無敗。
数多の敵を、国を燃やし尽くした。
それは悪行だったのだろうか。
今、信じられないことに自分は苦戦している。
そもそも相手は水神と呼ばれるほどの水の使い手。
対する自分は火だった。
相手が強いというより相性が悪いのだ。
それでも、所詮水は防御主体。
いくら苦戦しようとも負けることなんてありえない。
目の前の男もいずれ膝を折るだろう。
我は炎帝アシュラ。
我が炎の前に屈服せよ!
プシュウと音を立てて電車の扉が開くと、車内から同じ制服を着た高校生がどっとあふれ出る。その波に巻き込まれるようにして駅のホームに降りると、自然とため息が洩れた。
不覚にも寝坊してしまい、いつもより一本遅い電車に乗ってしまったのだ。自然と電車は混む。
改札を抜けて、いつも以上に不機嫌オーラ全開で歩き出した。
いつもと違う時間帯なのでロダンやさくらもいない。顔見知りと挨拶を交わす程度だった。
一人で歩く通学路は思いのほか長い。
周りを歩く生徒たちの話し声がやけに大きく聞こえた。
今日も朝から随分寒い。
学校近くのパン屋では朝から外に台を並べて、昼食用のパンを売り出している。そのパンを売る声が暑苦しくて、不機嫌オーラを更に助長した。
心なしか周りの生徒達もそんなオーラに気付いて道を開けているような気がする。
見た目だけは恐い空手部に身を置いているだけに、なんとなく恐がられているのだろうか。本当に見た目だけなのに…。
その時、見知った後ろ姿が目に入った。
ぴょこぴょこと結んだ髪を揺らして歩く女の子と、その後ろに追随するようにのっしのっしと歩く体格の良い男に、すらりと背の高いイケメンの後ろ姿。
さくら、ロダン、キリーの三人組だった。
気付かぬうちに結構速く歩いていたようで、いつの間にか三人に追いついてしまった。
「おっす、キリー」
歩調を更に速めて一番後ろを歩いていたキリーの肩を叩く。