投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

SFな彼女
【SF 官能小説】

SFな彼女の最初へ SFな彼女 1 SFな彼女 3 SFな彼女の最後へ

SFな彼女 -Science Fiction編--2

終業を告げるチャイムが鳴る。
ゼミさえ終われば、こっちのもんだ。明日は講義もバイトもない。
俺はさっきとは打って変わった清々しい気分で伸びをした。
ちなみに俺はこのゼミ中、討論に参加しなければ資料に文字を書き込むこともしていない。
ただ目を瞑り、時間の過ぎるのを待つのみ――いや、早い話、寝てたわけだ。
俺は多少雑音が耳に入っていた方がよく眠れる性質で、他のゼミ生らの討論はなかなか心地よいBGMとなっていた。
おかげで最近寝不足気味だったのがいくらか解消されたような気がする。
ふと、たまに何故自分がこの授業をとっているのか、そもそもどうして大学に行っているのかなんて疑問に思うこともあるが――考えると虚しいので止めておく。
ともかく、俺は一週間で一番憂鬱な時間を終え、開放感に浸っていた。
教授と話している榊を横目に教室を出て、俺は携帯を取り出して友人を呼び出す。
「あ、もしもし杉山? 俺ー、梅本」
俺の声に、サークルの悪友である杉山が応える。
「お、梅本! どした、何か用か?」
声の後ろががやがやうるさい――街中というよりは、家の中が騒がしいという感じ――のに気付きながら俺は言う。
「今学校終わったからさ、今日宅飲みしねーかと思って」
「悪い、梅本。今日ダメなんだ」
「何かあるのか?」
俺の言葉に、杉山は照れたように笑いながら言った。
「俺んち妹いるじゃん? あいつが留学生の友達呼んできてさ。家にホームステイするとか言ってんのよ」
ああ、なるほど。
だから後ろからキャーキャー女の声が聞こえるわけだ。
畜生、何だか羨ましいぜ。
俺は家路を辿りながら、道行く女子高生を見て思った。
「だから今日明日は無理なんだ。また誘ってくれよな」
「そっか、仕方ないよな。で、留学生とやらは美人だったか?」
すると杉山は、更にでれっとした声で笑った。
携帯の向こう、あいつのへらへらした顔が浮かんでくる。
「そっれがさァ、すげー白人美人! お前に会わせると妊娠させちゃうから会わせないけどさ」
「言ってろ」
奴の軽口に、俺も笑い声で答えた。
そうして明後日居酒屋で飲む約束を取りつけ、俺は電話を切る。
それと同時にちょうど自宅に着き、安アパートの古いドアを開けながら、俺は息をついた。
懐から煙草を取り出して火を点けると、何とも寂しい気分になる。

「ホームステイ、ねえ」
呟きながら、すっからかんの冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
「いいっすねえ、白人美人」
雑誌とカップ麺の容器だらけの、散らかった部屋。ベッドの上で煙草を吸いながら缶ビールを飲む俺。
本気で俺ってダメ人間だって思いつつも、こんな生活を止めることができなくて。
「あー、女抱きてえ」
仕方ないと分かっていても、つい口を突いて出てしまうそんな言葉。
これもまた仕方ない。
二十一歳、性春真っ盛りなんだからさ。
「くそー、エリカの奴。結局三回しかエッチさせねえでやんの」
携帯を開き、おそらくもう二度と使わないであろう元カノの番号を削除する。
未練なんて全然ない。
なりゆきでお持ち帰りして、なりゆきで付き合い始めて――そんな関係だった。
いい加減に真剣に恋愛してみたいとも思うが、それも無理だろうなァ。
(映画見たり飯食ったりってより、まずヤリてーもんなァ)
残り少ない缶ビールを一気に呷り、俺は暮れかけた空に向かって祈った。
「ああ、どうか俺にも白人美人の同居人が来ますように! いや、顔は並でいいから、エッチでエロい身体の娘さんが来ますように!」
叶わぬ願いを一番星に込め、祈るように手を合わせ――そして俺は我に返り、あまりの虚しさに肩を落とす。
何やってんだ、俺。
これだから彼女にも振られるってのに……。
俺は一番星の眩しく輝く窓に背を預け、吸いさしの煙草に手を伸ばす。
その時だった。


SFな彼女の最初へ SFな彼女 1 SFな彼女 3 SFな彼女の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前