ある季節の物語(夏)-5
…どう、よかった?…
ユキヒロが私の中で、生あたたかい精液を放出した瞬間に私は気がつかなかった。
…ねぇ…ダンナのものと、どっちがよかった…と、ユキヒロが甘えるような声で呟いた。
私があの山荘で過ごした一週間…最後まで夫の性器が私の中に与えられることはなかったのだ。
充たされるあてのない体の渇望と飢えの快感…陰部の細かい粘膜を爪で烈しく掻きむしりたい
ような痒みに似た疼き…それは、体にあたえられる恥虐の痛みによって、秘汁の濃さをさらに増
していくことを私は知ったのだった…。
窓から流れてくる近くの海の潮の香りを私は懐かしく感じていた。ユキヒロに初めて抱かれた
あの日のこと…。
そして、ユキヒロとのすべてがもう終わっていたのだ。
夫が出張で家を空けたときの、ユキヒロとの久しぶりの夏のひとときだった。
…由美か…今、どこにいるんだ…
…昔の女友達に会っていたの…と、突然の夫の電話に私は少しうわずった声で応える。
…嘘を言うな… 一体、どういうことなんだ…男といっしょにいる自分の裸の写真をオレに送
りつけるなんて…
えっ…どういうことなの…
ユキヒロだ…ふたりで写した携帯写真を、私が寝ている間に私の携帯電話から夫の携帯電話に
送りつけたのは…
…すぐ、帰ってくるんだ…今夜は、覚悟しておけ…
その夫の強い言葉に、私は止めた車の中で性器に手を触れる…微かな熱を含んでいた。
今夜、私は夫の狂おしいほどのいたぶりを受けるのだ。肌を喰い緊めるあの蛇の鱗のような
縄と背中に打ちすえられる鞭の快感… 膣肉を削ぎ落とされるような疼きがしだいに燻りはじめ、
潤みを帯びてくるのだった。
ユキヒロは、わかっていたのだ…私の心と体のすべてを…