女を捨てたと言い張る乙女-4
日も傾き夜になる。
さすがに昼から山二つ超えるのは無理だった。
一つ超えたところで焚き火をし、歩いてきた道に目を向けながら保存食を食べる。
「いい加減出て来たらどうだ美麗?」
その声を聞いてなのか、草むらが揺れる音がした。
暗い中…人影が映り聞き覚えのある声が聞こえた。
「いつから気付いておった?」
「歩き出してちょっとしてからだ。殺気を目茶苦茶たてて来ればだれだって分かるさ。今もそうだ」
「椿 龍源殿…」
「龍にしろ、皆からそう言われてる」
俺はそう言うと木にもたれかかり、美麗の方を見やる。
美麗はおどおどしながらこっちを見ていた。
よく分からんなこいつ…。
「とにかく座れば良いだろう?」
「あぁ…すまぬ…」
俺の向かい側に座らせ、俺は空を見ながら尋ねた。
「俺に負けたことがショックか?」
「…」
美麗は黙る。
つまり…ご名答とゆうことであろう。
「別に恥じることはないんじゃないか?あんたは一般のそこらへんの武士より強いさ。ただ俺がちょっと強かっただけだ」
「だがお主には負けた」
「体力と力の差だろ?そこだけはどうしても埋めることはできんだろう。体の作りが違うからな」
目線を美麗に移すと黙りながらこっちを見る美麗。
「女を捨てた…っと言いたげな目だな…」
まぁあの腕だから厳しい稽古などつけて来たのであろう。
ある意味女を捨てたこともあってであろう。
だがさすがに全て女は捨て切れてはいない。
「上を脱がされただけで羞恥がある様じゃ女を捨ててるとは言えないだろう?」
そう言うと美麗は顔を赤らめながら片腕をぎゅうっと握り、俯いている。
まぁそんなもんさ…。
女の普通の感情だ。
そう思いながら欠伸一つかき、眠りにつこうとした。
―ヒュル…ヒュルル…
ふと紐の解ける音がした。
そのほうを見ると、上を脱ぎ胸に巻いてあった包帯を懸命に取り自分の胸をさらけ出そうとする美麗。
俺は生唾を飲み込み、口をポカーンとあけていた。
「あ…あんた何を!」
その言葉を言った時には美麗の豊かな胸がもう丸々見えていた。