二個目の苺〜アーモンドクッキー〜-17
「愁、あの人もあたしを騙して…」
「あんたは私を捨てないよね?」
「お腹痛めて苦しい思いして産んだ私の可愛い子」
その言葉に僕は---…
…頭が異常に熱くなり、一気に冷めていくのを感じた
近寄ってくるその女を突き飛ばした
「母親みたいな口をきくな、二度とあんたの顔なんか見たくない」
綺麗な嘘が好き
偽物の愛に吸い寄せられる
現実をごまかし、捩曲げる
…きっと女はみんなそうなんだ
それを証明してみせる
確かめたい…?
何か期待してるのか…?
…違う、
ただ愚かな望みを叶えてやって、騙されて微笑む様を心の中で笑うのさ
綺麗な嘘で腹が膨れる愚かさを、指差して嘲笑ってやるんだ
でも…
…でも、それだけなのか?
…僕は…
「……ん…」
強すぎる香りに目を覚ます
夢を見ていたはずなのに、もう忘れてしまっている
頭が痛い…二日酔いか?
横を見ると、奈々が穏やかな表情で眠っていた
…変な奴だ
ほんのり赤い頬を撫で、そのまま髪に触れる
…この女がいると、バランスが崩れる
これ以上もう…
僕は彼女の首に手を掛けた
馬乗りになり、安らかな寝顔を見る
どうして君だったのか…?
僕の可愛い天使が、今ではなぜか怖い
やめてくれ…
…これ以上、僕を乱すな
手に力を込めていくと、彼女の目がゆっくり開いた
「愁さん…
…殺して…」