「demande」<槙惣介>-20
「んっ…、んっ、あっ、あんっ…」
惣介は繋いでいた手にキスをし、その手をそっと離したら七香の後頭部に手を敷いて口付けをした。
もう片方の手は揺れ続ける柔らかな胸へ。その間も、彼女を突き上げる動きは止まらない。
最初の痛みなどすでに緩和されてしまい、身も心もトロトロになってしまう。
SEXという行為は気持ちのいいものだということを知った。
いや…この人と繋がっているから気持ちいいんだ。
――私…彼が好きなんだ…。
「…ん…っふ、はっ…あ。…そ、そうす…け」
「…気持ち、いい?…苦しくない?」
「へい…き。…っ、きもちい…よ」
惣介の身体は少し汗ばみ、額にもそれが見て取れる。
惣介の首に絡みつき、腹筋にくっと力を入れたら、急に惣介の顔が歪んだ。
…っ、やば…。しま…るっ!
彼女の中が突然キュッと締まり、惣介のモノを圧迫する。
その気持ちよさに思わず動きが早まり、更なる高みへと煽る。
「あっ!あんっ!やっ、ダメっ!そんな…したら…っ!」
「お、嬢様がっ、締めつけるからっ…!」
「やああっ!あん!あん!そ、そうす…けっ!!」
「くっ……。ナナっ……」
ドクン!という感覚がハッキリ伝わった。
薄い膜の中で、彼の白濁としたものが出ているのだと、ハッキリわかった…。
―――――――――――
「すみません…」
「?」
「こんなに早く…終わらせるつもりはなかったんですけど…」
ベッドの中で抱き合いながら、惣介は自分の理性をコントロールできなかったことを悔やんだ。
そんなこと謝ることなの?と七香は不思議そうにする。
こうして抱かれて、髪を梳かれていることだけで幸せだった。
そして、七香が嬉しいと思ったことがもう一つあった。
「さっき…、『俺』って云ったでしょう?」
「?」
彼女の質問の意味がわからず、惣介は腕枕を動かさないように顔を覗く。
「ホラ、さっき…、しているときに、途中で『俺』って言葉、使ったわ」
「えっ!!あっ…、そ、そうでしたか。すみません!」
…うわー…やっちまった…。
無意識で言ってたの、まったく気づかなかった…。
「すみませんでした…。普段から言葉遣いは気をつけているんですが…」
「謝らないで。嬉しいんだから」
「…嬉しい?」
「…きっと、あなた普段は自分のこと『俺』って云ってるんでしょう?執事のときじゃなく、
素の惣介を見れたような気がして…嬉しかった」
七香の言葉は嬉しかったが、これはまずかった…と、ちょっと目が覚めた気分だった。
「そして…、私のこと名前で呼んでくれようとした?」
「…あ、はい…。それは…はい。すみません…」
これはしっかり自覚があった。
「お嬢様」というその他大勢ではなく、ちゃんと七香を抱いてるという感覚を
自分に刻んでおきたかったのだ…。