依頼者-4
エピローグ
『ありがとうございました、これが報酬です。』
琢郎は、封筒を受け取った。
『でも、君はなぜ彼を?』
『どうしても、耐えられなかったんです。』
『何を?』
『あいつは、、、とんでもない奴だった。』
『と言うと?』
『表向きはまじめそうなくせに、裏では女性に暴行したり、物を盗んだり、平気でそういうことをしてた。私は、そう言う奴が許せなかった。一番の原因は、その被害者の中に、私の妹がいたことだ。』
『そうですか。もうそれ以上は良いですよ美玖さん。』
『すいません、少し熱くなりました。』
『それよりね、話しておかなくちゃいけないことがあるんです。』
カチャリ、と音が鳴る。
『貴方も死ななくちゃいけないんですよ。美玖さん。』
『!?』
『いやね、私は、貴方から依頼を受けてました。ですがね、彼、孝弘君からも受けてたんですよ。』
美玖は冷や汗がどっと出たのを肌で感じ取った。
『彼からは事前にお金を受けとっていました。そしたら、その矢先、貴方からの依頼だったので、こっちの方がおもしろいかと思って、彼を先に殺したんです。』
美玖は泣きそうになっていた。
『じゃあ、死んで貰いますかね、美玖さん。』
とてつもない発砲音と共に、孝弘同様、美玖は倒れ込んだ。
『悲しすぎる。何が悲しくて、カップル同士殺し合いをしなくちゃいけねんだ。ったく、もっとたくさん生きて人生楽しめっての。』
琢郎は銃を美玖に投げ捨てたあとすくっと立ち上がり、すたすたと出口に向かい歩いていった。そのすぐ後に銃声がなり、琢郎はどさっと倒れた。
そして、美玖は最後に、にやりとして、息絶えた。