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依頼者
【サイコ その他小説】

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依頼者-3




次の日、孝弘は30分オーバーしてしまった。美玖と2人で図書館まで駆ける。何とか着いたが、琢郎さんの姿が見えない。と思っていたら、今度は美玖の姿も見えなくなった。孝弘は一人取り残され、どうすることもできなかった。
仕方なく、昨日の本の所まで行った。すると、そこには昨日の本はなかった。どうしよう、と思った瞬間、電器が消えた。停電のようだ。普通停電したら騒ぐはずなのに、何故かやけに静かだ。そんな中、真昼なのにカーテンを閉めているせいでよく見えない所をよく目を凝らしてみてみると、さっきの人たちがみんなぞろぞろと帰っている。
なんだなんだと思い、自分もとっさに帰ろうとした。すると、何者かに後ろから羽交い締めにされ、身動きがとれない状況となった。そのとき、やっと目の前が明るくなったと同時に、何人か人が入ってきた。
『大丈夫かな、孝弘君?』
聞き覚えのある声だ。ああ、そうだ思い出した、、琢郎さんだ。と、至って冷静に心の中で思った。
『残念だったね、孝弘君。僕が怪しいとはおもわなっかったのかな?』
琢郎は少し笑いながらそう言った。確かに、いきなり話しかけてくるなんておかしいとは思っていた。でも、いつの間にか心を許していたのだった。油断した、俺としたことが。
『何に言うことは無いのかな?まぁ、いいか、俺も好きでこんな事してるんじゃないんだよ。それは、わかってくれよ。』
『何がしたいんだ、目的は何だ?』
『オマエも見ただろ?あの最後のページ。あの通りだよ。』
『てーことは、、、』
『そう、あそこに載ってる名前は全て、国の命令によって、抹殺されるんだよ。』
やっと、謎が解けた。行方不明だったのは全て内密に殺されたからなのか。
『ちょっと待て、じゃあなぜ国は人をころすんだ?』
『この国にはね、隠れた風習があるんだよ。』
『風習?』
『そうだよ。毎年、この7月1日から7日までにかけて生け贄を出すんだ。そうすれば、国は平和に保たれる。それを、毎年この図書館でこうやって選び、そして消すんだ、永遠にね。』
『くそったれ、そんなの間違ってる。』
『いくらもがこうと無駄だよ。君はもう死ぬんだ。残念だったね。』
そう言って琢郎は銃を手に取った。
『そうだ、最後に教えといてやるよ。今日、さっさと帰った人たちはみんなグルだ。ここの人間なんだよ。今日は休みということにしておき、オマエが来るときに看板をはずし、入ったらまた置いたんだよ。いやーしかし、誤算だったよ君が遅れてくることは。少し焦ったね。でも大丈夫、もう死ぬから。』
カチャリ、と音が鳴る。やられたな。耳元に銃口が当てられる。ああ、もうすぐ死ぬんだと思ったとき、美玖の顔が頭に浮かんだ。そう言えば美玖は、、、、
銃声と共に孝弘はバタリと倒れた。


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