フニと僕の成長期3-3
帰りの車の中、僕の膝の上でフニはスゥスゥと寝息を立てていました。
運転席と助手席で交わされるお父さんとお母さんの会話を僕はぼんやり聞いていました。
「だからあんなに飼いたかったんだな」
「うん、だって可哀想でしょう。まだ子犬だし」
「だな。確かにいつ現れるか分からない貰い手を待つより、俺たちで貰った方が早ぇな」
「もし誰も見つからなきゃ保健所連れてかれちゃうんだもん。それ聞いたら私、どうしても何とかしたくて」
「お前らしいよ」
僕には何のことを話しているのか分かりません。でも『ホケンジョ』が何か分かれば、全部分かるんだろうなとは小さいながらに思っていました。
でもとても眠かった僕は、そこまで考えて記憶がプッツリ途絶えました。
膝に今まで知らなかった温かいぬくもりを感じながら、僕は微睡みに身を委ねることにしました。
●おわり●