振り向けお前っ!9話〜夏と海と・・・後編-9
「次、俺か。」
「頑張れ悠太。」
「おう。」
「あ、俺は別に位置とか言わないでいいから。」
そういって、準備しだす。
回り終わると
「たしか、ここら辺に置いたよな。」
と予測だけで進んでいき振り下ろす。
バコンとスイカを叩く音はしたものの、割れなかった。
「みんなだめねー、いいわ私がお手本を見せてあげる。」
と言い出すと目隠しをして、ぐるぐる回りだす。
そのときふと気づいた
「そうだ、阿佐美お前本気でやるなよ。」
「なんでよ!」
「食べられる原型をとどめて置けよ。」
「そう、分かったわ。面白いものを見せてあげる。」
と言い出すと棒を捨てる。
そして、スイカの位置までまるで前が見えているかのように、近づき
「素手で何すんだあいつ・・・?」
と言った瞬間
「こうやるのよ。」
と言って、スイカを殴りだす。
スイカにひとしきり衝撃を与えたところで目隠しをとり、スイカをもって悠太たちの場所へ戻る。
「何をやったんだ・・・?」
「ふふふ、まぁ、見てなさい。」
と、準備良く新聞紙の上にスイカを置き、トンと小突く。
パカリ
見事に八等分に分かれる。
「・・・・・・お前、何者だよ。」
「少し練習すれば、こんなの簡単よ。」
「普通の人間にそんなこと出来てたまるか・・・・。」
「ま、まぁ、食べようよ。」
そしてスイカを食べ終わった後はまた海で遊びだす。
そして、今度は男達の勝負が始まる。
「おい、輝、進一、後、幸兄。」
「ん?」
「何だ。」
「何悠太、お兄さんに何か用?」
「せっかくの海だ、速さ競わないか?」
「泳ぎ・・だよな。」
「僕はいいよ。」
「お兄さんもいいよ。」
「よし、じゃあ、ここから、あの岩場まで行って折り返しだ。」
そして、どこで聞いていたのか
「じゃあスタートの合図は私がやってあげるわ。」
と阿佐美が割り込んできた。