振り向けお前っ!9話〜夏と海と・・・後編-7
「うっ!」
倒れる寸前に蹴りを入れられたらしい。
そのまま悠太も海に仰向けで倒れこむ。
海には死体寸前の悠太と始めての敗北に呆けたままの阿佐美が浮かんでいる
「始めて悠太に負けた・・・。」
「くそっ・・・完全勝利は無理だったか・・。」
そして
「た、助かったぁ。」
輝は心底安心していた。
しばらくした後、昼が近づいてきたので、昼食にすることにした。
「おーい、皆、昼ごはんにするぞー。」
幸宏の呼びかけにより全員戻ってくる。
「いっぱいあるから、どんどん食べてね。」
「お、幸兄の手作り?」
「幸兄さん料理得意だからな、楽しみだ。」
幸宏は今は一人暮らし中なので、何かと得意なことが多い。
「うーんさすが幸兄だ、うまい。」
「ほんとだ美味しい。」
「こんな美味しいの、始めてです。」
「料理人になれるんじゃないですか?」
と全員が感歎する。
「みんな、大げさだなぁ。」
「そんなことないよ、幸宏兄さん料理上手いじゃん男なのに。」
しばらく、昼食を楽しんだ後に、幸宏がどこからかスイカと細長い木の棒を取り出してきた。
「スイカ割り?」
「そ、スイカ割り。」
そして、夏の定番スイカ割りが始まる。
「一番手は、進一でいいわ、最後は私、後は薫ちゃん、アッキー、愛華ちゃん、あんたね。」
何で俺だけ、あんたなんだ。
「よーぉし、一番手の俺で終わらせてやる!」
「あ、助言はなしね。」
「ええ!?そこはありだろ。」
「阿佐美、ちょっと来い。」
「何よ、まったく・・。」
悠太が呼ぶとしぶしぶ着いてくる。