振り向けお前っ!9話〜夏と海と・・・後編-5
「ちっ、はずしたか」
「よし、最後はお前だ。」
「ふ、甘いわね、ほかの人たちと一緒じゃないわよ私は。」
「あ、ちょっとまて、水入れる。」
「別にいいわよ。勝つのは私だし。」
そう言って俺は水を補充する。
「よしやるか。」
そうして水上の激闘(?)が始まる。
「うらぁ、」
先制は悠太。が、しかしあたらない
「遅い遅い。」
やはり、阿佐美の方が一歩上手だった。
「おりゃりゃりゃりゃ。」
「うおっ。」
なぜか同じ水鉄砲のはずなのに、阿佐美のは速度と威力がある。
「引き金をどんな強さで押しているんだあいつは!」
仕方ないので近くでぼんやりと浮かんでいる進一を拾い上げて盾にする。
「ぐはぁ!ゆう・・た・・おま・・・え・・」
一発あたっただけでものすごい痛いことが分かった。
徐々に差がでてくる。
「くっそ。」
「ほらほら、どんどん行くわよ。」
ヒュヒュヒュヒュンと風を切る音がする
「おかしいって!何で水が風を切る音がするんだ。」
よけるので精一杯になってしまった悠太に対して、阿佐美は容赦なく打ち込んでくる。
「にしても、悠太はよくよけられますね、あんなの。」
「だよな、俺だったら潔く当たるね。」
「ところで、さっき盾にされましたが大丈夫ですか?」
「あ、ああ・・・・うん、かろうじてね。」
そして、輝と進一は他人事のように見ていた。
「く、くそっ、駄目だ、まともにやって勝てるものじゃない。」
「そうよ!さっさと諦めちゃいなさい!」
さっきまでのヒュンと言う音がビュンと言う音に変わっていた。
「何か、水鉄砲に殺傷力が付いてないか・・・?」
「そんなの気のせいよ!と言うか、いい加減当たりなさい!」
と、勢いづいていた阿佐美だったが、ここで水切れを起こす。
「あら?」
「よし、水切れたな、今度はこっちの番だあぁ!」
威勢よく水を乱射する、が当たらない、阿佐美は軽々とよける。