ラブマッチ-共--2
─キィ。
うわぁ、こいつ本当に熟睡してるよ。よく寝れるな、こんなとこで。
─パシャン、ザバァ…ン。
う〜、やっぱ気持ち良い。風呂はちゃんと浸かるに限るな。
あ〜。求めてた物を手に入れた幸福感、最高だな。
ご丁寧に入浴剤まで入れちゃって、まったくこの女は…。
俺は彼女の右手の薬指で光る指輪を見つめた。
はぁ。口開かなきゃいい女なんだけどな。
彼女の顔に濡れた髪が垂れていて、何となく、俺はそれをそっと掻き分けた。
しばらくそんな彼女を見ていると瞼がトロンとしてきた。
はぁぁ。何であんなヤンチャなんだ…何で……あんなに………。
…………………。
………ん。
あれ。俺、寝ちゃって…っ!
「入ってしまったのですね」
鶴の恩返し?
「うん」
なんですか、その人を蔑むような冷めた目は。その鷹のような鋭い目は。その人殺しのようなギラリと光る目は。
ああ、俺、死ぬんだ。
俺が死を覚悟した瞬間、彼女はクスリと笑った。
「たまには一緒に入るのも悪くないかも」
「は?」
「あんたの寝顔見れるし、優しいし」
そう言って自分の髪を手櫛で掻き上げ意味ありげに微笑む。
ごめん、俺が間違ってた。
お前は口開いてもいい女だわ。
【end.】