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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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やっぱすっきゃねん!VB-13

「…ちょっと」

 永井は、ミーティングを中断して通話ボタンを押した。電話の相手は一哉だった。

「どうしたんです?何か問題でも…」

 永井の問いかけに一哉は用件を伝える。

「…これは、一応提案なのですが…」

 そう前置きすると、一哉は10分間ほど自分の考えを語った。途端に、永井の顔が険しくなった。

「……私の考えは以上です」

 提案を聞いた永井は、言葉を選ぶように一哉に訊ねる。

「…それは可能ですが、相手もある事ですから」
「その点は大丈夫。向こうからの了解は得ています。当日の朝、連絡いただければと言っています」

 永井は携帯を手に、しばらく思い悩んだ後、

「…分かりました。週末の練習後に伝えましょう」

 了承の返事をした。すると、一哉は“では、連絡は私の方から”と言うと電話を切った。

「藤野コーチ、何の用件だったんです?」

 電話中に見せた永井の表情を心配した葛城が声を掛ける。

「それが、今度の日曜日に……」

 永井は、先ほど一哉と交した会話の一部始終を語った。

「それは良いアイデアかもしれませんね」

 すぐに葛城は笑顔を見せて、提案に賛同する。

「ええ、私もそう思ってお願いしたよ。本人には、土曜日の試合後に伝えようと思ってね…」

 永井はそう言うと頷いた。



───

 土曜日夕方。

「……以上のメンバーだ。集合時刻は7時……」

 部活後。永井は明日の予定についてブリーフィングを行っていた。

「…それから、全体練習後、レギュラーはシート打撃、それ以外は手伝い、1年生はグランド準備だ…」

 永井は“以上だ!”と言って閉めようとした後、

「…それから、直也と佳代。着替えたら職員室へ来てくれ」

 そう、付け加えてから解散した。散り々に部室に向かう部員達の中、佳代と直也は一瞬、お互いを見合い首を小さく振った。

 佳代は慌てて保健室に向かうと、脱ぎ捨てたユニフォームを丸めてバッグに放り込み、ジャージに着替える。


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