殺人生活-8
エピローグ
コンクリートの寒い部屋。その中にぽつんと置かれた机と椅子。その机の上にはステンドライトがあった。
数分経ってから、中に二人の男が入ってきた。
『オマエはもう帰っていいぞ。』
勇太はにやっとして、ありがとうございますと言った。
『それにしても録音していたとはな。中学三年生でよくやるよ。』
『もういいですよ、その話は。ところで、麗亜は捕まったんですか。』
『当たり前だろ。オマエの証拠が何よりの手がかりだったがな。オマエがあいつの“脅迫”を録音してくれたおかげで、オマエも助かったしちゃんと犯人も捕まった。これで一件落着だ。』
『ありがとうございます。』
軽くお辞儀をした後にすぐ言った。
『あの、もうそろそろ帰らせてもらってよろしいですか?』
『ああ、そうだったな。帰っていいぞ。』
『失礼します。』
そう言って勇太は部屋を出た。
署を後にした勇太は、真っ直ぐ英義の元へ戻った。インターホンを鳴らすと、中から英義が手招きをした。それをみておじゃまします、と言って入っていった。
『英義、うまくいったぞ。』
『そうか。』
『あの偽造音声はつかえるな。あれだけで俺はもうおさらばだぜ。』
『ひとまず、これで麗亜の親父さん達も手を引くだろう。だが、まだ油断はするな。終わったわけじゃないんだ。』
『分かってるよ。でも、今はとりあえず“科学研究”はストップできてるんだろ?ならいいじゃねえか。』
『今はな。でもいずれ再開するはずだ。そうなったときに阻止できなければ、世界中に危機が迫る。それを俺たちの手でくい止めるのは無謀かもしれないが、やるしかないんだ。それしか方法はない。麗亜には悪いが、親父さんの罪の償いとでも思ってくれれば。』
『ああ、そうだな。』
二人は顔を見合わせ、頷いた。
突然ベルが鳴る。
『誰だよ。』
勇太がイラッとしながら玄関に行き、扉を開けた。
『殺人容疑で逮捕。』
その後ろには麗亜の姿が。麗亜はにやっとしてこちらを見た。
『偽造なんてすぐにばれるんだよ。』
と言った麗亜は、それに付け足すようにもう一度口を開いた。
『地獄に堕ちろ。』