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殺人生活
【ミステリー その他小説】

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殺人生活-2




『あっぶねえ!!』
『ギリギリじゃん!』
息を切らしながら、三人で膝に手をつく。
あのスリルがたまんないな、などと戯言を言いながら、ゆっくりと英義家に入ってゆく。
『俺たち上行ってるから!』
麗亜、勇太の二人は二階へと上がっていき、英義だけが下でお茶をくんでいた。あとで上に持ってきて、と約束した二人は悠々と二階へ上がり込む。
一日中布団がしきっぱなしの部屋で、ゴロンと寝転がる。頭元にあった漫画本を取って読み始めたのは麗亜で、それを見て勇太も一緒になって読み始めた。五分くらい経ってからだろうか。麗亜がふと気付いた。英義がいつまで経っても上がってこない。お茶をつぐだけのはずなのに、こんなにも時間がかかるのは不自然だ。麗亜は、まだ気付いていない勇太に英義のことを言おうとした。そのときだった。
『うああああああああああああああ!!!!』
下から聞こえた叫び声に、勇太と麗亜が飛び上がる。二人とも考えてることは同じで、すぐさま下へと駆け下りた。
テーブルから落ちている容器。その容器から流れ出る麦茶。その下にはもがき苦しむ英義の姿が。
『英義!!』
英義の元へと駆け寄ると、何も喋らずに苦しい表情で訴えるだけだった。そして、ゆっくりとテーブルの方を指さした。二人はテーブルに目をやる。するとそこには一枚の紙が。
「この少年に、ある薬を飲ませた。そのせいで少々苦しんでいるが問題ないはずだ。今から言うことをちゃんとしてくれれば命に別状はない。」
命……。命に関わると考えるだけで倒れそうになる。つばを飲み込み、恐る恐る次の行へ。
「その薬というのは、一種の毒薬だ。その毒薬は、“人間の体の一部”を食べさせれば一時的に治まる。しかし、時が経てばまた症状が現れ、死の危険が迫ってくる。だから、その都度人間の体の一部を食べさせればいいわけだ。分かったかな?その為には君たちの手で人を殺し、その少年に食べさせなきゃならない。できるよな?悪ガキ少年どもよ。」
『何なんだよ……。』
不安が募り、麗亜と勇太は二人で顔を見合わせた。どうするんだ、と言った表情でお互いに見つめ合っている。そんなことをしていると、読んでいた手紙から一枚の紙が現れた。
まだ何かあるのか。当然二人とも同じ思いだろう。だが、読まないわけはいかない。英義為にも、俺たちのためにも。
意を決して開いたそこには、一言だけ書いてあった。
「ちなみに、その少年にはこの紙を見せないで、本当のことも隠し通すように。」
そりゃあそうだろう。言ってしまえば人間の肉を自分が食べるんだと認識し、絶対に食べる気を無くす。当然のことだが、やはりやらなければいけないのか。そう言う思いでいっぱいになった。
英義は喋らずに紙の方を指さした。
『ん?あ……これ?あのな…………。』
なんて言い訳すればいいか見つからなかった。するとすかさず麗亜が言った。
『今オマエが飲んだのはワクチンらしいんだ。だから、なんもないから心配いらないってさ。それまでは俺たちが看病してやれって。』
英義は首を傾げた。
『オマエ、生まれつき持病持ってるんだって?そう書いてあったよ。』
もう一度首を傾げる。
『オマエ知らねぇのかよ。ああ、ひょっとしたらオマエの親が隠してたのかもしんないな。』
不思議な顔をしていた英義だったが、無理矢理な麗亜の対応によりとりあえずその場は切り抜けられた。しかし、早くしなければ英義が死んでしまう。急がなければ。
英義の家には当分親は帰らず、家には英義だけだった。そのため、三日ほど前から三人で一緒に寝ている。今日もその流れで看病しつつ“人”を食べさせるといい。
計画を立てるために二階へと上がる。
『どうする。』
『とりあえず、英義を死なせないためには……。』
『やるしかないな。』
心は決まっていた。やるしかないと。やらなければ英義が死んでしまうんだ。
『とりあえず、外に出てターゲットを探そう。』
手紙を左端の引き出しに隠し、一階に下りる。
『英義ー、ちょっと外に出てくるからなー。』
そう言い残した麗亜、勇太は玄関の戸を開ける。より一層緊張が高まる中、二人は外に出た。


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